グッピーは美しい色と優雅な泳ぎで人気の熱帯魚です。ある程度の水質にも適応し、繁殖もしやすいことから初心者の方にも飼育しやすい熱帯魚です。この記事では、グッピーの育て方について詳しく解説していきます。適切な水槽の準備や水質管理、栄養と健康維持、そして繁殖のコツまで、一緒に学んでいきましょう。グッピーの飼育が楽しく成功するよう、大切なポイントをお伝えします。ぜひ参考にしてみてください!
グッピーはどんな熱帯魚?

グッピーの原種はもともと南米北部のトリニダド、小アンチル諸島、ベネズエラ、ブラジル、コロンビア、ギアナなどが原産です。世界に初めて知ることとなったのは1850年代頃と言われており、イギリスの植物学者レクメア・グッピー氏が発見しました。
その後イギリスの大英博物館に持ち込まれ、当時の館長であったギュンテル博士が発見者のレクメア・グッピー氏からジラルジナス・グッピーと名付けました。
現在はドイツで繁殖したグッピーが多く出回っており、その繁殖力と適応能力の高さから世界各国の河川で野性化しました。日本でも神奈川より南の地域で野生化したグッピーを見ることができます。
日本では1980年代後半から1990年代前半頃までグッピーブームがありました。学校でグッピーを飼育していたのを思い出しますね。
グッピーは一見するとメダカのような体ですが、なんといってもその尾ビレの鮮やかさが人気の理由ですね。先に述べたグッピーブームの火付け役になったと言われているブルーグラスも非常に鮮やかな尾ビレを持っていました。
グッピーの特徴
グッピーはメスの方が大きく体長が5〜6㎝でオスが3〜4㎝程度です。現在まで様々な品種改良が行われており、最大の特徴は尾ビレの鮮やかさです。
また、繁殖も少し変わっており卵胎生という繁殖方法でメスの体内で卵が孵化してから稚魚の状態で産みます。この繁殖形態により食卵もないことから繁殖力が強く、1ヶ月で30匹以上も稚魚を産みます。
稚魚の増やし過ぎには注意しなければなりません。グッピーブームの際も増えすぎたグッピーを河川に放流してしまう人が続出したので節度をもって稚魚の調整を行う必要があります。
グッピーの育て方
適応能力も高く比較的丈夫なグッピーですが、快適な環境を用意して健康に育ててあげるのはアクアリストの責務です。ここからは基本的なグッピーの育て方について解説していきます。
水槽
当たり前ですが水槽の大きさはグッピーの飼育数に応じて変わってきます。一般的に目安として1Lあたり1匹と言われています。例えば30㎝キューブの水槽であれば水量は27L程度になりますので、単純に27匹までなら飼育できます。
ただグッピーはヒレが大きく、そのヒレが優雅で観賞用としての価値があるので目安より少し少ない飼育数の方がトータルレイアウトを考えた時に見た目も綺麗だと個人的には思います。

フィルター
グッピーに適したフィルターというのは特にありません。飼育生体でフィルターを選ぶとしたら水流に強い生体か弱い生体かくらいで、基本的には飼育環境や設置場所、見た目などでフィルターを選びます。
個人的な意見になりますが、小型水槽を使用する場合は水量が少なく水質が安定しにくいので外部フィルターを使用して生物濾過の能力で水質を安定させるのがいいかと思ってます。
外部フィルターについて詳しく解説した記事はこちら
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底砂
水槽の底に敷く底砂もグッピーに向き不向きがあり、コケ対策が難しいものもあります。オススメの底砂としてはGEXのベストサンドがいいと思います。ベストサンドはバクテリアが付着しやすいようになっており、匂いやコケの発生を防いでくれます。
特に初心者の方にはベストサンドはオススメの底砂です。
グッピー以外にもコリドラスなども混泳させたいと考えている方には田砂がオススメです。粒がとても細かいのでコリドラスも喜びますよ。

水草
グッピーの稚魚たちに隠れ家を作ってあげると安心して成長してくれます。その隠れ家として水草が必要になりますし、レイアウトとしても美しいので水草を植えることをおすすめします。
隠れ家として最適な水草はいくつかあり、ウォータースプライトやマツモなどもいいですが水草の育成難易度を考えるとウィローモスがいいですね。
グッピーの隠れ家に最適なウィローモスの記事はこちら
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餌
グッピーは雑食性の魚です。なんでも食べますが、ある程度の栄養は考えたほうがいいでしょう。基本的には人工飼料をあげて、週1回くらい生き餌を与えてあげるといいでしょう。生き餌はブラインシュリンプやアカムシなどを与えます。グッピーに限らず生き餌を与えた時の魚たちの喜ぶ姿は見ていてほっこりしますよ。

照明
照明はグッピーたちにとっても水草にとっても必要な設備になります。自然界にも昼と夜があるように照明を使って昼夜のリズムをつくることが重要になります。
タイマー使用して時間になると自動でONOFFができるようにしておくといいでしょう。

ヒーター
グッピーが元気に過ごせる水温は23〜26℃です。この水温を維持するためにヒーターが必要となります。水温計も設置して常にグッピーにとって快適な環境を整えてあげましょう。

グッピーの病気
グッピーは比較的丈夫な魚ではありますが、それでも病気にかかるとこもしばしばあります。グッピーたちに健康に過ごしてもらうためにも代表的な病気は把握しておきましょう。
ここでは代表的な2つの病気について解説していきます。
白点病
白点病は、淡水魚の中ではよく見られる病気ひとつです。
感染した魚は体表に小さな白い粒状の斑点が現れ、これが病名の由来となっています。感染初期には見逃されやすいこともありますが、病気が進行すると白点が増え、魚の皮膚やヒレにも広がります。
原因
白点病の原因は寄生虫です。繊毛虫の一種でウオノカイセンチュウが寄生することで白点病となります。ウオノカイセンチュウは幼虫の時に魚に寄生し、栄養を奪いながら成長します。成虫になると魚から離れて水槽内で分裂・増殖し、また他の魚に寄生します。
そのため白点病を放っておくとウオノカイセンチュウが増殖し、水槽内の魚たちに寄生していくので早期発見、早期治療が重要となります。
治療
白点病の治療は高水温と薬浴が効果的です。まずは、2/3程度水換えを行いメチレンブルーなどで薬浴をします。ただし、薬浴の効果があるのは水中にいるウオノカイセンチュウの幼虫だけで、魚に寄生しているウオノカイセンチュウには効果がありません。
そこで、水温を28〜30℃まであげて魚に寄生しているウオノカイセンチュウを魚から離す必要があります。ヒートナビを使用して水温調整をしてあげるといいでしょう。

尾ぐされ病
尾ぐされ病は白点病に並び、代表的な魚の病気です。尾ヒレを中心にほかのヒレにも白く濁ったようになったり、ヒレがボロボロになるといった症状があります。
原因
尾ぐされ病は細菌感染で起こる病気です。「カラムナリス菌」という細菌が原因となりますが、この細菌は常在菌であり常に水中にいます。つまり、健康な魚には感染しないので魚たちの免疫を常に正常に保つことが重要となります。
治療
尾ぐされ病の治療には大きく分けて2つあります。1つは塩水浴で2つ目は薬浴です。
塩水浴は魚の自然治癒力を高めて自己免疫で病気を克服する治療方法で初期症状では効果的です。一般的には塩水濃度は0.5%で塩水浴を行いますので、目安として10ℓの飼育水に50gの塩を混ぜれば0.5%となります。
この時にいきなり塩水につけるのではなく、水合わせの時のように数時間かけて塩水濃度が0.5%となるようにしてください。また、塩水であるためバクテリアの効果は期待できないので水換えは毎日行ってください。塩水浴は1週間続けるのが1つの目安となります。
薬浴はある程度症状が進行してしまっている場合に有効です。『グリーンFゴールド顆粒』『観パラD』『エルバージュエース』など様々な薬浴用の商品が出ておりますが、用法容量や使い方をよくみてご自身の設備や状況でやりやすい薬を選んでください。
塩水浴と薬浴を併用もできるので単体で治癒しない場合は併用を試してみてもいいかもしれません。

グッピーの繁殖

先にも述べたようにグッピーの繁殖は比較的容易であり、むしろ増え過ぎに注意しなければなりません。計画的に繁殖をさせることを念頭に、環境を整えた方がいいでしょう。
グッピーが増えすぎる理由
一番に挙げられるのは卵胎生であることです。グッピーは卵を胎内で孵化させ稚魚になってから出産します。これにより、食卵被害やカビなどによる被害がないため稚魚として生まれる確率が高いです。
またメスはオスの精子をお腹に蓄えておくので1度の交尾で2〜3回ほど出産することがあります。さらに水温次第では1年中繁殖可能であるため、気づいたら稚魚が泳いでいたといったこともしばしばあります。
繁殖を管理するためにはオスとメスを別々に飼育することをおすすめします。稚魚が生まれてしまっていた場合は稚魚の隠れ家を取り除き、自然淘汰されるのを待つというやり方もあります。かわいそうだと思うかもしれませんが、自然界では通常の営みです。
繁殖
グッピーにとって快適な環境であれば何もしなくてもどんどん繁殖します。
繁殖しやすい水温は25〜26℃と言われており、グッピーが一番活発に動ける水温です。それでも繁殖行動が始まらない時は、水換えをして刺激を与えると繁殖行動が始まることもあります。
また稚魚が隠れられる水草などがあった方が親魚も安心して繁殖に臨むことができます。
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まとめ
グッピーはブームになる程人気の熱帯魚となりましたが、その環境適応能力と繁殖力で日本の河川にも帰化してしまい社会問題となりました。
鮮やかな尾ビレで観賞魚として需要がある反面、飼育する側は繁殖には最大限の配慮が必要となります。責任あるアクアリストとして素晴らしい水槽ライフを楽しんでいただければと思います。