オーストラリアンクローバー(通称オークロ)は、クローバーのような葉が特徴的な水草です。オーストラリアンノチドメ、オーストラリアンヒドロコティレといった別名もあります。
今回の記事では
オークロを導入したいけど、今の水槽環境で大丈夫かな?
簡単に増やせると聞いて育てたら失敗してしまった
オークロにCO2添加は必要?
こんな疑問を解決できるようオークロの特徴・育て方について解説します。おすすめのレイアウトについても提案していますので、ぜひチェックしてみてください。
オークロの特徴

オーストラリアに自生するセリ科の植物で、葉や茎の形が個性的なので、好んで育てているアクアリストが多くいます。
クローバーに似た葉は大きさ1cm程度。ツタのように細く長く茎を伸ばしながら葉をつけていきます。
オークロの繁殖力
オークロの繁殖力はとても強く、他の水草と同時に植えると、オークロの成長の早さに驚くことでしょう。環境に慣れると、さらに増殖スピードが速まり、こんもりとした茂みができます。
ランナー(茎)を伸ばして成長するので、家の外壁に生えたツタのように広がるイメージです。
オークロの植栽位置
水槽のどの辺に置いたらいいのか、というのもよくある疑問です。
一般的には、前景〜中景草として使われます。前景であれば底床を這わせるように、中景であれば茎が立ち上がるように育てるイメージです。
オークロの特性を生かした別の使い方については後述しますので最後までチェックしてみてください。
オークロの飼育難易度
オークロは育てやすい水草です。ただし、光量だけは強めの照明で確保してほしいですね。
水質は幅広く適応し、ソイルでも砂利でも育ちます。
CO2は添加しなくても育ちますが、あったほうが格段に育成が容易になるということは知っておきましょう。
そして、ここでのポイントですが、匍匐させて絨毯のように敷き詰めたいなら難易度は上がります。匍匐させるためには、強い光量とCO2添加が必須だからです。オークロを絨毯のようにするには、光合成を促す環境を作り、増殖させる必要があります。
オークロは、光が弱いと横に広がらず上にヒョロヒョロと立ち上がるので、強い光で立ち上がりを抑え込み、横に伸びるように仕向けて匍匐させます。
オークロの絨毯を作りたいならCO2添加が必須!こちらの記事を参考にしてみて下さい
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オークロはこんな人にオススメ
オークロをおすすめするのは
水槽に可愛らしさが欲しい人
水草の絨毯を作りたい人
水草を水上で育ててみたい人
水槽に可愛らしさが欲しい人
オークロの茂みは、クローバー畑のようでとてもメルヘンチックです。ライトグリーンのオークロの上を色鮮やかな熱帯魚が泳ぐ様は、心を和ませてくれます。
他の水草の間からひょっこり顔を出すように伸びる様子も可憐です。特徴的なクローバーの形が目を引くので良いアクセントになりますよ。
水草の絨毯を作りたい人
オークロは、底床を覆う絨毯を作れる水草です。
匍匐型で前景に使われるグロッソスティグマなどよりも葉が大きく、少し浮いた感じに成長するので、合わせて絨毯の高低を作るのも素敵です。オークロ単体だと、ふんわりボリュームのある絨毯になります。
他にも絨毯のようにレイアウトできる水草がありますよ
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水草を水上で育ててみたい人
オークロは水上化できる水草なので、ビオトープや水上に飛び出す流木レイアウトをやりたい場合などに、水上植物として使用できます。
オークロの水上化は簡単です。葉を水上に出しておけば水上葉が出てくるので、常に茎の先が水に浸るようにしておきます。水を切らすと枯れるので注意しましょう。

オークロの植え方
ここからはオークロを植える前の準備・植え方のポイント、そして活着についても触れていきますのでチェックしてみてください。
オークロを植える前にすること
購入時のオークロは、ポットか束の状態だと思います。広げてみると、茎が細長く、ツル植物のような形をしています。
植える前の準備作業は次のとおりです。
水中でゴミを軽く振るい落とす
根を短くカットする(植えるときに邪魔になるため)
枯れている株があればカットする
植栽用に長い茎をカットする(2節以上残るように節と節の間を切る)
茎が長いまま植えると、上に向かって成長し、広がっていかない可能性があります。
オークロを植えるときのポイント
間隔を空けて、密に植えないようにします。繁殖力が強いので、空けた隙間はすぐに埋まると思ってください。最初から密集させてしまうと、成長したときに光合成や通水性に問題が出てきます。
植栽後は抜けやすいので、しっかり植えましょう。節が1つか2つ埋まるように斜めに植えます。
環境に慣れて増えてくるまでは、エビや水草を食べる熱帯魚は入れないほうが無難です。食害に遭ったり、引っこ抜かれたりすることがあります。
オークロの活着方法
オークロを流木や石に活着させることは可能です。
正確に言うと、アヌビアスなどのようには活着しないのですが、オークロの茎や根が絡みつきやすい性質を持つので、活着したように作ることができます。
流木に巻いたり、石の間に挟んだりするだけでも、そのまま成長していきますよ。

オークロの育て方

オークロを育てる際に必要なことについて
オークロに必要な照明
CO2添加の有無による違い
オークロに適した水温・水質
オークロの肥料の与え方
こちらの内容で解説します。
オークロに必要な照明
オークロが育つのに必要な光量の目安は、30cm水槽で700〜1500㏐(ルーメン)程度と考えられます。水槽の上に置く薄型のライトであれば、800㏐程度のものを2つ用意すれば、オークロの絨毯を作るのにも相応しい光量となりそうです。
水槽の大きさによって必要となる光量は違います。
水槽照明について詳しく解説した記事はこちら
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CO2添加の有無による違い
CO2は添加したほうが美しく展開します。
具体的には
丈夫に育つ
色が鮮やかになる
成長スピードが早まる(増える)
十分な光合成により、葉に気泡が付いて美しい
ということです。
「絨毯にしたいわけじゃないし、CO2無しでやってみたい」という方は、それはそれで問題ありません。育てる価値はもちろんあります。
オークロの生き生きとした最高に美しい状態を観たいのであれば、CO2を維持してみてください。

オークロに適した水温・水質
水温は、22〜26℃程度が適しています。
水質は、弱酸性〜中性(pH5〜7程度)に保つと良いです。やはり、弱酸性に傾けたほうが美しく育ちます。
オークロの肥料の与え方
CO2添加でぐんぐん成長させるなら、定期的な肥料の投与が必要です。
固形肥料を植えておけば、あまり肥料不足の心配をすることはないでしょう。液体肥料は水槽全体に栄養が拡散されるので、コケ発生の心配がつきまといます。水槽内の様子を見ながらうまく活用してくださいね。
オークロを育てる際の注意点
オークロの育ち方に由来する注意点について、以下の2つを解説します。
定期的なトリミングが必須!
オークロの根は絡まりやすい!
定期的なトリミングが必須!
オークロは、定期的にトリミングすることが必要です。
理由は以下のとおり。
成長が早く、過密になりやすい
生い茂ってくると根元に汚れが溜まりやすい
過密箇所は水の流れが悪くなり水質悪化の原因に
葉が重なり合うことで光が平等に当たらなくなる
古い葉が劣化したりコケの被害に遭っていることがある
急激に成長して栄養不足になると、葉が白化することがあります。この場合もトリミングで間引き、追肥をしましょう。
オークロのトリミングは、あまり神経質になる必要はありません。ハサミで切ったところから芽が出てきます。環境が合うと一気に増えるので、1〜2か月に1回程度、豪快に刈り込むという人もいます。
密度が足りない場所に差し戻して増やすことも可能です。
オークロの根は絡まりやすい!
オークロの根は絡まりやすいので、根を張って他の水草の成長を阻害することがあります。ひどい場合は、引き抜くことも必要です。
このとき、根が絡まった他の水草や抜きたくない株も一緒に抜けないよう慎重に行います。絡まってどうにもならなければ、根元でカットしましょう。
オークロのおすすめレイアウト
オークロを使ったおすすめレイアウトをご紹介します。
森のようなレイアウト
オークロだけで高低差を作るように、前景は絨毯状に敷き詰め、後ろに向かって高さを出していくレイアウトです。
オークロの立ち上がる習性を利用して、立体感を出します。左右のボリューム調整で谷のようにしてもいいですね。
草原というよりも森のようなダイナミックなイメージです。
自然の造形美を感じさせるレイアウト
中景の石や流木周辺に配置し、隙間を埋めつつ、オークロが石や流木を伝っていく様子を表現します。
オークロは這って障害物を登っていくので、木に巻きつくツルなどをイメージさせるのに丁度いいです。少し寂れたような雰囲気も出せますよ。
長い時間をかけて自然が造り出した味わい。そんなレイアウトに使ってみてほしいです。
枝垂れるレイアウト
高さのある石や流木の上部に置いて、オークロのランナーが下に伸びるようにするレイアウトです。
ツル植物が枝垂れていく感じが出ると思います。印象的なスポットになること間違いなしです。
オークロが水上に飛び出るような表現も面白いですね。
オークロと合わせてレイアウトしたいロタラについての記事はこちら
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まとめ
オークロの育成自体は難しいものではありません。CO2を添加しなくても育ちます。
ただし、増やして匍匐させたり、オークロ本来の美しさを求めるのであれば、強い光量とCO2を保つ必要があるということです。
CO2の添加無しで始めてみても良いと思います。でも、いつかは気泡を湛えたオークロの生き生きとした姿を眺めていただきたいですね。