ハイグロフィラは、育て方が簡単な有茎草として人気の水草です。たくさんの種類がありますが、その中でも代表的なハイグロフィラについて解説していきます。
これから水草を始めたいと考えている方には最適な水草ですので、ぜひ最後までチェックして参考にしてみてください。
ハイグロフィラの種類と特徴
ハイグロフィラは、おもに東南アジアに生育するキツネノマゴ科の植物です。
以下に代表的な種類を解説します。
ハイグロフィラ・ポリスペルマ

学名:Hygrophila polysperma
ハイグロフィラ・ポリスペルマは、ハイグロフィラの代表種としてとても人気のある有茎草です。葉はライトグリーンですが、光量が強いと赤みがかった色に変わります。
CO2添加なしでも育ち、丈夫で根張りもよいので水槽の立ち上げ時に使用されることも多い水草です。また、水中では細長い丸葉ですが、水上では水中よりさらに丸い葉に育ちます。
生長すると30cmをこすこともあるので中型以上の水槽を使用したほうがよいでしょう。

ハイグロフィラ・ロザエネルビス

学名:Hygrophila polysperma var. rozaenervis
ハイグロフィラ・ロザエネルビスは、ポリスペルマの改良品種で、ピンクから赤紫の葉に白い葉脈のような模様が入るきれいな水草です。
葉に特徴的な色をだすためには、CO2添加や強めの光量があったほうがよいでしょう。水上ではポリスペルマとほとんど見分けがつきません。
水中で育てることでロザエネルビスの特徴を楽しむことができます。

ハイグロフィラ・サリチフォリア

学名:Hygrophila salicifolia
ハイグロフィラ・サリチフォリアは、黄緑色の葉が美しい有茎草です。
生長すると高さがあるため、適切にトリミングしカット部を底床に差し戻して増やすと良いでしょう。CO2添加なしでも育ちますが、きれいな茂みを作りたいならCO2と強めの光量があるほうが望ましいです。
水中でも水上でも、あまり葉の形に変化はありません。

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ハイグロフィラ・ピンナティフィダ

学名:Hygrophila pinnatifida
ハイグロフィラ・ピンナティフィダは、ギザギザの切れ込みが入った葉が特徴の珍しい有茎水草です。
有茎草ですが、流木や石に活着させることができます。活着させると生長が遅くなるので、美しい群生をつくることも可能です。
ソイルに植えると葉が大きく高さもでるので、後景草として使用できます。CO2添加なしでも育ちますが、きれいに育てるためには添加したほうが望ましいでしょう。
水中葉と同じように、水上でもギザギザしたシダ類のような葉を付けます。

ラージリーフ・ハイグロフィラ

学名:Hygrophila stricta
ラージリーフ・ハイグロフィラは、大型になる有茎草の代表的な水草です。ライトグリーンの大きな長楕円形の葉が対生し、とても存在感があります。
CO2添加なしでも育ちますが、添加したほうがきれいに育ちます。生長し水面上に出てくる水上葉は少し紫がかった緑色です。

ニューラージリーフ・ハイグロフィラ

学名:Hygrophila stricta var. Thailand
ニューラージリーフ・ハイグロフィラは、ライトグリーンの大きな葉が美しい有茎草です。ラージリーフ・ハイグロを育てやすくした類似種で、比較すると葉幅が狭く小ぶりです。
光量が重要で、足りないと下葉が落ちやすくなるため、根元まで光が届くようなレイアウトにする必要があります。
中景草から後景草のワンポイントとして使用されることが多く、中型から大型水槽に適しています。水中でも水上でも見た目はあまり変わりません。

ウォーターウィステリア

学名:Hygrophila difformis
ウォーターウィステリアは、古くから知られる水草です。細長く分岐し切れ込みが入った鋭い葉が特徴的で、密集して育つ大型の有茎草です。
水上葉はギザギザの丸葉で、水中葉とはまったく別の姿です。生長すると高さ40cm以上になるため後景向きで、中型以上の水槽が向いているでしょう。
CO2添加なしでも育ちますが、CO2添加し強めの光量を与えた方がきれいに育ちます。

ハイグロフィラ・トリフロラ

学名:Hygrophila triflora
ハイグロフィラ・トリフロラは、ライトグリーンの葉で茎頂部分が赤みをおびた有茎草です。
トリミングを繰り返すことで、密集した葉のグラデーションを育成できます。ウォーターウィステリアほど細かくはないですが、切れ込みが入った葉が特徴的です。
生長が速いので、水槽の立ち上げに使用され、コケの抑制や底床バクテリアの繁殖を促進します。

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ハイグロフィラはこんな人にオススメ
ハイグロフィラは、特に初心者にオススメです。
比較的丈夫
CO2添加なしでも育つ
光量もそれほど必要ない
水質にあまり敏感ではない
また、種類が豊富で葉の形や色が異なるため、水槽のレイアウトにこだわる上級者にもオススメです。
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ハイグロフィラの育て方
ハイグロフィラの育成方法は、一度に数多く植えるのではなく、数本を成長させながらトリミングをすることで増やしたり全体のバランスを調整します。
差し戻し
差し戻しはカットした葉と茎の茎頂側を利用する方法です。根端側を捨て茎頂側をソイルに差すことで株を小さくします。
差し戻しは、株の茎頂側のみを利用するので元気がなくなったり、こけに侵された下葉の部分を捨てることができます。
一般的に差し戻しというと、ピンチカットした茎頂側を差して株を増やす方法として使われることが多いようです。
ピンチカット
ピンチカットは、節から少し上をカットし、残った根端側をそのままにしておく方法です。カットした所から脇芽がでてきてそれが生長していくことで葉の密度が上がります。
ハイグロフィラは非常に丈夫な有茎草ですが、茎頂部をカットすると生長速度が一時的に遅くなることがあります。
カットした茎頂部を差し戻すことで、株数を増やすことができるので、少ない本数から徐々にボリュームを出すことができます。

ハイグロフィラを育てる際の注意点
ハイグロフィラは、長期的にみると定期的な追肥があったほうが美しく育ちます。肥料不足になると貧弱な姿になることがあるので注意が必要です。
また、CO2添加を多くしすぎると、成長が早まり節の間が間延びしたり巨大化したりなどレイアウトを崩す原因になります。葉が赤くなる種類のハイグロフィラは、強い光量が必要になるので準備が必要です。
ハイグロフィラが溶け出して(枯れて)しまわないように注意が必要です。購入後は水槽に植える前に水草のダメージをチェックしましょう。
傷や変色やつぶれたところはないか、手で触ってみて柔らかくなっているところはないかチェックすることで溶け出すことを予防できます。
また、トリミングを行うときは切れ味の良いハサミを使い、できるだけストレスを与えないようにカットしましょう。
ハイグロフィラのおすすめレイアウト
草丈が高くなる種類が多いので、後景としてまとめ植えしたレイアウトにすると見栄えが良くなります。中型から大型の水槽で育成することが適しています。
先端から4~5cmくらいを切り取って育てると生長が遅くなるので、前景~中景向きになり、小さな水槽でも育てることができます。
水中と水上とで大きく葉の形が異なる種類も多いので、アクアテラリウムなどで楽しむのも良いでしょう。
まとめ
ハイグロフィラは、簡単に育てられる初心者にオススメな有茎草です。
たくさん種類があるので、自分の好みにあったハイグロフィラを見つけてみるのもよいでしょう。
CO2添加や光量を調整し適切なトリミングを行えば、美しい葉の形や色彩を楽しむことができ、水槽レイアウトを彩る重要な要素となります。
初心者から上級者まで、その魅力的な姿を通じて水草育成の楽しさを存分に味わってみてはいかがでしょうか。