ウィローモスは初心者向けと言われ、CO2添加無しでも育成が容易な水草です。
ウィローモスでよくあるのが、初心者向けの割には上手く育たないという悩み。今回は、多くの方の「なぜ何度やっても茶色くなって枯れてしまうのか?」という疑問にもお応えしながら、ウィローモスの特徴と育て方、きれいに育てるポイントについて解説します。
ウィローモスの特徴
世界中の温帯〜熱帯の川などに生息する水生ゴケで、日本でも見られます。

ウィローモスの生態
濃緑色の細長い糸状の葉が特徴で、枝葉を広げるように成長するため、柔らかな茂みを作りやすい水草です。根を持たず、葉から栄養を吸収します。
ウィローモスは流木や石に着生しますが、ただ水に沈んだ状態でも育ちます。安定して成長させるには流木等に活着させるのが理想的です。
ウィローモスは浮かないので、単独では浮き草のようにはなりません。
初心者向けと言われる理由
CO2添加無しでも育つ
低光量でも育つ
肥料無しでも育つ
以上が初心者向けと言われる理由です。
水草関係の必須要素が無いので導入しやすいですよね。丈夫で、トリミングにも強いので、あまり神経質になる必要はありません。
ウィローモスを導入するメリット
ウィローモスを水槽に導入する主なメリットは以下の3つです。
コケが生えた自然観を演出してくれる
エビやメダカの良い隠れ家になる
レイアウトの自由度が高い
コケが生えた自然観を演出してくれる
苔むした流木の風情など、自然の美しさを上手く表現してくれます。
短くカットすれば、活着させる流木などのフォルムを変えずに飾ることができるんですよね。他の活着系水草には無いウィローモスの美質です。
エビやメダカの良い隠れ家になる
葉が柔らかく、エビやメダカの隠れ家として最適です。新芽はエビのおやつにもなりますよ。
メダカなどの産卵床になりやすいので、繁殖環境を整えるのにも一役買ってくれます。
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レイアウトの自由度が高い
日照が少なくても育つ陰性植物なので、レイアウト的に光が当たりにくい場所に置くことも可能です。
草丈は低めで、成長がゆっくりなので、小型水槽にも無理なく導入できます。
水上レイアウトも可能なので、アクアテラリウムに使う方も多いですよ。
ウィローモスの仲間
南米ウィローモス・プレミアムモス・ウィーピングモスなど、水槽で育つウィローモスの仲間はたくさんいます。
モスの種類の中でもウィローモスは環境にうるさくなく、丈夫です。ウィローモスほど育成が容易でないモスも多数存在するので、初めてコケ類を育てるならウィローモスから始めてみましょう。

ウィローモスの育て方
ウィローモスの育て方について
適した水温・水質
照明はどうする?
CO2・肥料は不要?
水上栽培
の4点を解説します。
ウィローモスに適した水温・水質
水温は、20〜28℃程度に保つことが推奨されます。10℃程度でも枯れずに適応することもあるようですが、急激な温度差には弱いので注意しましょう。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性(pH6〜7.5)が適しています。極端にどちらかに傾かないように管理すれば問題ありません。
ウィローモスの照明
30cm規格水槽で、500~1000㏐(ルーメン)程度の光量を目安にすると良いでしょう。通常は熱帯魚用のライトで十分ですね。1日8時間程度を目安に点灯します。
低光量で育ちますが、全く光がない環境では枯れるので注意しましょう。
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ウィローモスにCO2・肥料は不要?
ウィローモスは、CO2を添加しなくても育成できます。活着直後などに成長を早めたい場合やより美しく育てたいなら少量添加すると良いです。
栄養分の需要が低い水草なので、基本的に肥料は不要です。CO2添加で成長を早めるのであれば、液肥を与えるとよく育ちます。
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ウィローモスの水上栽培
ウィローモスは、簡単に水上栽培ができます。なかなか安定した成長を見せてくれるので、トリミングの切れ端でやってみるのもおすすめですよ。
テグスなどで固定しなくても、付着させておくだけで活着します。乾かないように霧吹きやラップなどで湿度を保ち、室温20〜30℃程度であれば問題なく成長するでしょう。照明も忘れずに。
ウィローモスのトリミング
ウィローモスは、カットした部分から新芽が出てきます。頻度や切り方が成長に影響を与えることは少ないでしょう。
実際にトリミングするときのポイントを解説します。
カットした破片が散らばらないようにする
水中でカットすると細かい葉が散らばり、勝手に活着して予期せぬところから育ってしまうことがあります。
可能であれば、活着している流木や石ごと水槽から取り出してトリミングしましょう。取り出せない場合や水中で様子を見ながらカットしたい場合は、水換えホースで破片を吸いながら行うか、ネットですくいながら行います。
取り出してトリミングした場合は、葉の細かい破片を軽く水で流してから水槽に戻しましょう。
カットの方法
普通のハサミでも可能ですが、トリミング専用のほうがきれいにカットできます。
望む長さでどこを切っても問題ありません。短めにカットすると苔むした様子を演出するのに良いですよ。育ってほしい方向の葉を長めに残すなどして整形しましょう。
ハサミを使わず手でむしる方法もあります。全部剥がれないように注意して、下に引っ張るようにするのがコツです。

ウィローモスを育てる際の注意点
ウィローモスが茶色くなったり枯れたりする原因は以下の3つが考えられます。そうならないための注意点と合わせて解説します。
光量が足りない
水温が低すぎるか高すぎる
水質が合わない
光量が足りない
全く光が当たらない状況にないか確認しましょう。
照明があっても、他の草の陰になって光が遮断されていることがあります。ウィローモスが生い茂ると、下層部分が光量不足で枯れるので、こまめにトリミングしましょう。
ウィローモスの葉がコケにまみれて、光が届かないケースもあります。後述するコケ対策を参考にしてください。
水温が低すぎるか高すぎる
水温が低いと光合成の活動が鈍くなり、弱る原因になります。
夏場に水温が30℃近くになるなど、高水温もウィローモスにとって過酷な環境です。
必要に応じて水槽用ヒーターやクーラーを使用して適正水温を保ちましょう。
水質が合わない
ウィローモスは葉から栄養を吸収するので、水質の影響を受けやすいです。濾過不足や水換え不足で水質が悪化していないか確認しましょう。
単純に水換えを増やすことで改善が見込めます。水換えは即効性があり、コケ対策にも有効なのでやってみてください。
底砂が砂利やサンゴ砂であれば、弱アルカリ性に偏りすぎている可能性もあります。ウィローモスは、弱酸性が最も生き生きするので、pHを下げるアイテムなどで少しずつ調整しましょう。

ウィローモスのコケ対策
ウィローモスは、水槽内の水流がない部分や通水性が悪い場所では茶ゴケや糸状ゴケが付着しやすくなります。コケが付くと光合成ができなくなって枯れたり、見栄えも悪くなるので対策が必要です。
ウィローモスのコケ対策として
ミナミヌマエビなどのコケ取り生体を導入する
広がる前に早めにコケが付いた葉を取り除く
水換えを増やす
照明を消す
水流が止まる場所を作らない
などが有効です。
コケ対策でお掃除生体を導入してみては?
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一度生えると人力でコケを取り除くのは困難で、コケの発生部分を切るしかないのが悲しいですよね。ここはコケ取り生体に頑張ってもらうしかありません。
照明は、水槽全体の消灯が難しければ、コケが付着したウィローモスだけをバケツなどに移動させて照明を当てない方法もありますのでお試しください。
コケ除去剤は、ウィローモスにダメージを与えるので使用しないでくださいね。
ウィローモスを活着させる方法

ウィローモスは、トリミングでカットした部分を活着させて増やせます。流木等への活着方法とモスマットの作り方について解説します。
流木等への活着
水草用接着剤で活着する方法もありますが、今回は糸で巻く方法をご紹介します。活着手順は以下のとおりです。
活着前の準備
流木等にウィローモスを乗せる
テグス(釣り糸)などで固定
ウィローモスの脱落を確認
1.活着前の準備
ウィローモスを1cm程度にカットして、水に浸しておきましょう。濡れていたほうが流木等に張り付きやすくなります。
活着する葉は、短くカットしすぎると成長できないので注意しましょう。
2.流木等にウィローモスを乗せる
流木等も水で濡らし、ウィローモスを乗せていきます。流木等の表面が見える程度に薄めに乗せるのがポイントです。重ねすぎると下になった葉に光が当たらず枯れる原因になります。
3.テグス(釣り糸)などで固定
無色透明なテグス(釣り糸)などで巻いてウィローモスを固定します。テグスは5㎜程度の間隔でまんべんなく巻きつけましょう。ウィローモスが水中で浮かない程度の強度で十分です。
長く飛び出している葉があればカットします。こうすると成長後の見栄えが良くなりますよ。
4.ウィローモスの脱落を確認
テグスから脱落する葉がないかバケツなどの水に沈めて確認します。脱落が多い場合は巻き直しましょう。

モスマット(モス絨毯)を作る
園芸用の鉢底ネットに活着させて絨毯のようににすることもできます。
以下がモスマットの作り方です。
- 鉢底ネットをモスマットの大きさにカットしたものを2枚作る
- ウィローモスを2cm程度にカットしておく
- 重ねた鉢底ネットの間にウィローモスを挟む
- 鉢底ネットを沈めるための重し(平たい石やおはじきなど)を一緒に挟む
- テグス等でネットの端を止める
鉢底ネットとウィローモスを直接テグスで巻いて固定しても良いです。
まとめ
ウィローモスは、CO2不要・低光量・肥料不要で育ちますが、光量・水温・水質を適度に保つことがきれいに育成するポイントです。
汎用性が高く魅力的な水草なので、興味のある方はぜひ導入してみてください。今回解説したポイントを押さえて、ウィローモスの育成を楽しんでくださいね。