「白点病と他の病気の見分け方は?」
「白点病は水換えだけで自然治癒する?薬が必要?」
「水温の変化で白点病にかかる?」
白点病は、アクアリウムを楽しむうえで必ず知っておきたいメジャーな病気。たとえば新しい魚を入れたあとに、ポツポツと白い斑点が現われたら白点病かもしれません。
白点病は早期に薬浴などの治療をしないと魚が死んでしまう可能性も潜んでいます。しかし、白点病を見たことがなければ、見分け方が難しく感じることもあるでしょう。
そこで、本記事では白点病の症状や見分け方、原因、予防策、治療について解説します。ぜひ本記事を参考にして白点病を見逃さず適切に対処するようにしてください。
白点病とは

白点病の症状
白点病とは、魚のからだに白い斑点ができる病気です。
最初は尾ビレなど部分的に白点がみられ、その後体中へ広がるように増えていきます。
白点病になる前兆として、水槽や水草にからだをこすりつける泳ぎが観察されることが多いです。
からだを頻繁にこすりつけることで体表面に傷ができることもあるでしょう。
体を小刻みに震わせたり、体力が奪われて動きが鈍くなることもあります。
エラに症状が出た場合、苦しそうな呼吸が見られるかもしれません。
白点病の見分け方
斑点ができる病気として白点病のほかコショウ病やエピスティリス症があります。
白点病と他の病気の見分け方は、斑点のサイズを目安にしてください。白点病の白点は1~2mmほどの大きさです。コショウ病の斑点は、1~2mmより小さいサイズでやや黄色みを帯びています。
まるでコショウをふりかけたような見た目と表現されることが多いです。1~2mmより大きい白点がみられたらエピスティリス症を疑いましょう。エピスティリス症は病気が進行すると患部周囲の鱗がはがれてくることも特徴です。
白点というよりも、できもの・腫瘍のような見た目の場合、ポックス病やエロモナス感染症など白点病以外の可能性が高いでしょう。
白点病の原因
白点病の原因は、白点虫と呼ばれるイクチオフチリウス(別名ウオノカイセンチュウ)。繊毛虫の一種として分類される寄生虫です。
白点虫は表面に付着しているわけではなく上皮内に寄生するため、魚が違和感を感じてからだをこすりつけたくなるのでしょう。魚の細胞や体液などの栄養を食べて成熟した白点虫は、水中へ離れていきます。
成虫は水中や底砂でシストと呼ばれる卵のような形に姿を変え、シスト内で分裂増殖したのちに大量の仔虫を産出。孵化した仔虫たちは新たに寄生する魚を見つけて感染します。
このように、白点虫は魚に寄生して離れて増殖し、再度寄生するというサイクルを繰り返します。そのため水槽のような狭い環境では、魚に大量寄生したり全体に感染が蔓延しやすいのです。
このライフサイクルは、水槽内の水温によって一巡する期間が変わります。目安として水温が20℃だと1週間ほどで一巡し、水温が高くなるとこれより短くなります。
今まで元気だった魚が白点病になる原因として以下のものが考えられます。
新しく導入した魚からの感染
急激な水温の低下
新しく導入した魚からの感染
新しい魚からの感染が白点病の原因として一番多いと考えられます。
ペットショップや通販で購入した魚を導入したときに、水槽内へ白点虫が持ち込まれて感染するようです。
急激な水温の低下
白点虫は25℃以下の水温を好むため、水槽内が25℃を下回ると発症リスクが高まります。逆に30℃以上になるとほとんど発症が見られないことが知られています。
冬場はとくに水温が低下しやすく、白点病を発症する危険性が高いと言えるでしょう。水換え時にも水温の変化がみられやすいので、注意するようにしてください。
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白点病の予防策
白点病の予防として以下のような対策を行いましょう。
新しく魚を購入するときは状態をよく見る
魚を導入する前にトリートメントする
水温を25℃以上に保つ
定期的に水換えをする
新しく魚を購入するときは状態をよく見る
白点病が持ち込まれるタイミングとなる、新しい魚の導入時。購入する前に魚に怪しい症状がみられないかよく確認する必要があります。通販で購入すると魚の状態がわからないため、できればペットショップやアクアリウム専門店で購入しましょう。
チェックポイント
白点がある個体が水槽内にいないかどうか
元気がない個体がいないか
ケガをしている個体がいないか
水槽や水草にからだをこすりつけたり変な泳ぎ方をしていないか
新しい魚を欲しい気持ちが先行して、よく状態を確認しないと購入後に後悔するかもしれません。そうならないように新しい魚は慎重に選ぶようにしてください。
新しい魚をトリートメントする
アクアリウムでいうトリートメントとは、新しく購入した魚を一定期間ほかの水槽や容器で隔離しておくこと。新しい魚が病気にかかっていないか確認したり、新しい魚の体力を回復させる目的で行われます。
1~2週間を目安に隔離し、病気が疑わしければ最初に薬浴をしておくとよいでしょう。

水温を25℃以上に保つ
白点虫は水温が25℃以下になると発症するリスクが高まります。そのため水温を26~27℃程度に維持することで白点病の予防対策ができます。
水槽内の水温を維持するために冬場はヒーター、夏場はクーラーやファンを利用するようにしてください。水温をチェックするために水槽に水温計を設置しておくとよいでしょう。

定期的に水換えをする
適切な水温だけでなく、きれいな水質を維持することは魚にとって重要です。水換えをさぼってしまうと、水質が悪化し魚にストレスを与えたり実際に体調が悪くなってしまいます。
そうなると白点病だけでなく、他の病気にもかかりやすくなるでしょう。面倒でも水換えは定期的に行い、魚にとって快適な環境をつくってあげましょう。
水換えの頻度は3日に1回がおすすめです。とくにフィルターは汚れも蓄積しているので1~2か月に1回は念入りに掃除してください。

白点病の治療
ここでは白点病の治し方をチェックしていきましょう。
以下の内容について解説します。
白点病は自然治癒することもある?
白点病の治療薬について
水温を高くする効果
白点病は自然治癒することもある?
できれば自然治癒してほしいと思う方もいるかもしれません。水換えだけすれば治るのではないかと思う人もいるでしょう。しかし、白点病が自然治癒する可能性は残念ながらほとんどありません。
白点病の治療は、薬浴をすることが基本です。白点病の自然治癒を望んで、そのまま放置してしまうと魚が衰弱死したり、感染が広がる危険性があります。
疑わしい症状が見られたら早期に薬浴治療することで完治も望めるでしょう。
白点病の治療薬について
白点病の治療ターゲットは、寄生前の仔虫とシスト前の魚から離れた成虫です。
治療に使用できる薬は、メチレンブルーやマラカイトグリーンなど。代表的な薬の特徴を表にまとめましたのでぜひ参考にしてください。
薬効期間 | 着色性 | 水草 | |
メチレンブルー水溶液 | 5~7日 | あり | 枯れる |
アグテン | 2~3日 | あり | 枯れることがある |
グリーンFクリアー | 10~14日 | なし | ほとんど枯れない |
メチレンブルー水溶液は、魚に優しいマイルドな薬なので初心者の方におすすめです。
アグテンは、メチレンブルーより効果が高い治療薬です。
ただし、メチレンブルー水溶液とアグテンはレイアウトへの着色性があることや水草が枯れる可能性があるためデメリットも理解した上で使用しましょう。
これらのデメリットを避けたければ、レイアウトや水草を取り出しておくか、グリーンFクリアーを使用してください。グリーンFクリアーは、魚や水草に優しく、着色性の問題もないため治療薬に迷ったらこちらを選びましょう。
薬浴方法として、水槽の水を半分~3分の1ほど水換えしたあとに薬を投与してください。メチレンブルー水溶液とアグテンを使うと水が着色されますが、薬効が弱まってくると色も薄まります。
色が淡くなっても治りきっていない場合は、また水換えをして薬浴をしましょう。からだに白点がみられなくても仔虫が寄生している可能性もあるので、十分に薬浴することが大切です。
なおそれぞれの薬は、必ず用法容量を守って使用してください。

水温を高くする効果
ヒーターを使って水温を高くすることで、薬浴治療をサポートすることができます。26~30℃程度の水温にすると、白点虫のライフサイクルが短くなり成虫も魚から離れるのが早くなります。
治療薬は魚から離れた成虫をターゲットにしているため、ライフサイクルが短くなれば薬の効果も早まることが期待できるでしょう。
ただし、水温の急激な変化は魚にストレスを与える可能性があるので、少しずつ加温することが大切です。
群泳する魚は白点病に気をつけよう!
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まとめ
白点病の症状や見分け方、原因、予防策、治療について解説しました。
白点病は自然治癒することが難しいため、薬浴治療をすることが大切です。斑点をつくる他の病気もあるので、見分け方のポイントを理解しておきましょう。
定期的に水換えをしたり水温を適切に管理すること、そして新しい魚の導入時は特に気を付けることで白点病の予防につながります。
ぜひ白点病の知識をつけてアクアリウムを楽しみましょう。