

気泡を湛えた姿に誰もが魅了されるリシアという水草をご存知でしょうか?
リシアをきっかけに本格的に水草水槽を始める人も少なくありません。その魅力は、何と言ってもたくさんの気泡を付けること。水草の中でも最高峰の美しさです。
アクアショップやインターネットで見かけて、「育ててみたい!」「家の水槽に導入できるだろうか?」と考えている方もいるでしょう。
今回は、リシアの特徴や育て方について解説します。
リシアの特徴

リシアは、ウキゴケと呼ばれるコケ植物で、世界中の水辺に分布しています。自然界では水面に浮遊しているようです。
鮮やかなライトグリーンが印象的で、1㎝程度のY字型の細い葉を茂らせます。成長が速く、立体的でボリュームのある絨毯が作れますよ。ただし、レイアウトを維持するためにトリミングが欠かせません。
リシアは浮草なので、根を張らず活着もしません。水槽に沈めてレイアウトするには、重りに固定する作業が必要です。流木などに固定することもできます。


リシアはこんな人にオススメ
リシアはこんな人にオススメです。
水草の気泡を楽しみたい!
活着レイアウトの表情を変えたい!
小型水槽で本格的に水草を育てたい!
水草の気泡を楽しみたい!
リシアは、光合成によって気泡をたくさん付けます。その様子が非常に美しく、「水槽の前でいつまでも見ていられる」と言う人も多いんですよ。
絨毯になったリシアに気泡が付き、まるで気泡の絨毯のように一面が輝くのを見ることができます。

活着レイアウトの表情を変えたい!
流木や石への活着レイアウトが「なんだか単調だな」「もう少しリアルな感じが欲しい」といった場合に、リシアを混ぜ込んでみるのはいかがでしょうか。
例えば、ウィローモスの間からリシアが顔を出すようにすると、より自然感が出ます。混栽相手として導入して表情の変化を楽しんでみてください。

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小型水槽で本格的に水草を育てたい!
成長は早いですが、葉は小さく、頻繁にトリミングする水草なので、小型水槽でも問題なく育成できます。
エビと相性が良いので、リシアでエビ水槽を立ち上げるのも良いかもしれません。リシアの上を歩くエビが可愛いですよ。

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リシアの育て方
リシアの育て方について
水質・水温
光量
CO2
沈め方
肥料
トリミング
の6つを解説します。
適正な水質・水温
水質は、pH6.0〜7.0(弱酸性〜中性)を好みます。弱酸性に傾きやすいソイルが育てやすいでしょう。
適応水温は、17〜28℃程度です。夏や冬に水温が保てない場合は、水槽用クーラー・ヒーターなどで管理しましょう。


必要とする光量
リシアは、水草の中でも高光量を必要とします。本来は、水上に浮いて成長するので、光の要求度が高いのです。水草用ライトを2台以上設置すると良いでしょう。60㎝水槽で3000㏐程度が成長を促せる目安です。
十分な光で光合成をさせることがきれいに育てるポイント。光量不足だと、葉が細くなり、色も薄くなります。ヒョロヒョロと間延びする原因にも。
推奨される光量よりもやや高めにすると、気泡が付きやすく色鮮やかに育ちますよ。


CO2の添加
光合成で成長させるためには、CO2を添加する必要があります。CO2は光と同様に光合成要素なので、光量だけ強くても意味がありません。細かい泡が出るディフューザーを使用すると、CO2を効率よく水に溶け込ませることができます。
照明点灯時にCO2が添加されるようタイマーを設定するなどの管理が必要です。照明・CO2の装置が止まっている時間にエアレーションが作動するようにしましょう。きちんと管理をしないと、水草が枯れたり生体が酸欠になったりするので注意してください。

リシアを沈める方法
リシアを水中に沈める方法は
リシアネットやリシアベース(重りとネットが組み合わさったもの)に詰める
リシアストーン(平らな石・プレート)に巻く
流木や石に巻く
というのが主なものです。
絨毯のように敷き詰めたい場合は、リシアネット・リシアベース・リシアストーンを必要数並べて底床に配置します。
この時点でたくさん詰めたり巻いたりしないようにしましょう。通水性が悪くなるなど、成長の妨げになることがあります。最初は土台部分が目立ちますが、光量とCO2の条件が揃えば、1〜2か月程度で土台が見えないくらいに成長するので安心してください。


肥料の添加
根を持たないので、肥料は液肥が良いです。
光量とCO2が十分なのに、色が薄くなるなどの不調が認められるときは、肥料不足を疑いましょう。
入れ過ぎるとコケが発生しやすくなるので使用量に注意してください。
成長が早く、たくさん肥料を吸収する水草ですが、それは光合成が活発に行われる環境に限ります。まずは、光量とCO2が不足していないかチェックしましょう。光合成環境が整わないうちに肥料を添加すると、ただコケが発生するだけということになりかねません。

トリミング
環境が良ければ2〜3週間でトリミングが必要になります。
浮力が強いため成長すると浮く
成長すると根元に光が当たらず枯れる
というのがトリミングが必要な理由です。
土台ごと水槽から出してカットするのがベストですが、水中で行う場合はエアレーションを止めるなどカットした破片が散らばらない工夫をしましょう。刈り込むように思い切ってカットしても大丈夫です。
カットした葉先を利用して増やすこともできます。水槽に浮かべても増やせるので、「捨てるのがもったいないな」と思うようならやってみてください。ネットに入れると散らばらないので良いですよ。

リシアを育てる際の注意点
リシアを育てるときに注意するポイントは以下の4つです。
浮かないように注意
コケ対策
水流は弱く
巻き直しが必要
浮かないように注意しよう
大きくなったリシアが浮いてレイアウトが崩れるというトラブルはよくあります。成長し過ぎると活着させた土台ごと浮いたり、リシアネットから抜け出したりするんです。リシア育成の最大の難点かもしれません。
成長が早いので、こまめなトリミングでボリュームを抑え、レイアウトを維持しましょう。

コケ対策をしよう
高光量・CO2・肥料でコケ発生のリスクが常に高い状態になり得ます。リシアの葉にコケが付いて成長を阻害し、枯れたり溶けたりすることがあるので要注意です。
水槽立ち上げ時は濾過機能が弱いので、特に注意が必要です。最初は、光量・CO2・肥料を少し抑えて、水槽内の様子を見ましょう。水換え・底床掃除の回数を増やすのも効果的です。
リシアと相性の良いミナミヌマエビなどのコケ取り生体も導入しましょう。

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巻き直しをしよう
土台に詰めたり巻いたりした元の部分が黒く変色することがあります。こうなると、これ以上は成長できないので、変色した部分を除去して、先端の元気な葉を巻き直す作業が必要です。
トリミングの際に定期的に巻き直しをすると、きれいな状態を維持できますね。
リシアのおすすめレイアウト
リシアを使ったおすすめのレイアウトをご紹介します。
立体的な草原レイアウト
リシアのボリュームある茂みを活かし、小さな丘が連なるような立体的な草原を作ります。丘によってできる陰影が生み出す光の濃淡が幻想的なレイアウトです。
なだらかな草原の中に石だけを添えて厳かな雰囲気を出したり、リシアで大きめの丘陵を作って奥行き感を演出するのも素敵ですね。
盆栽のようなレイアウト
大きな流木にリシアをこんもりと茂らせ、盆栽のようにレイアウトします。大地に生える木のような形状の流木を選び、枝に葉が茂る様子を再現しましょう。ダイナミックに大きな木を表現して欲しいですね。
流木の形状によってはリシアネットごと載せても良さそうです。
川底レイアウト
川底を表現できる砂のような底床を選びます。石と石に巻いたリシアの茂みをランダムに配置し、自然の川の中を覗いたような閑静なレイアウトです。
リシアは、丸い石に巻くとコロンと愛嬌のある姿になり、コケや草に覆われた石や川底の草を表すのにぴったりだと思います。
まとめ
光合成環境をしっかり整えなければ、リシア本来の美しい姿を見ることはできません。レイアウトを維持するために、こまめなトリミングが必要なのも手間に感じるでしょう。
リシアには、手間はかかるけど「気泡を付けた姿が見たい」「もっと美しく育てたい」と思わせる不思議な魅力があるような気がします。
鮮やかな葉色に美しい気泡をまとったリシアの輝きを、ぜひ、ご自分の水槽で見ていただきたいですね。

