

秋分の日が過ぎ、朝晩が寒くなる頃、メダカは抱卵しなくなります。秋を感じ始め、越冬の準備が必要になってきます。今回は失敗しない越冬準備について解説していきたいと思います。
屋外飼育のメダカの冬の過ごし方

水温が下がり始め、メダカの活動は鈍くなってきます。冬になり、水草や柿の葉、藁の下でじっとしていたら餌の食べが悪くなります。
そんな時は餌を与えずに、そっとしておきます。

メダカの冬眠とは
メダカは10度以下になると冬眠します。熊などの冬眠と違う点は、何も食べないのではなく、水中に漂っている微生物を食べる点です。完全に寝てしまうのではなく、動きが鈍くなり、臆病になります。なので、足し水だけで、水替えは必要ありません。餌やりも必要ありません。
水足しをした時に、驚いて赤玉土の隙間に入り込み、抜け出せなくなり、亡くなってしまうこともあります。足し水をするときは、水温を合わせ、優しく驚かせないようにしましょう。

メダカについて詳しく解説した記事はこちら
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冬眠のメリットデメリット
<メリット>
冬を越えたメダカは体が大きくなる。
色上げの効果がある。
繁殖力が上がる。
水替えの手間が減る(冬越しに入る前に準備は必要)。
<デメリット>
メダカが観られない
年がいったメダカは、水温低下から消化不良を起こし、致命傷になる。
1.5cm以下の稚魚は体力がないので、冬越しできない可能性がある。
ダルマメダカなどは越冬が苦手。
メダカを越冬させる方法

晩秋以降は餌を与えない
冬に向けて、メダカの活動量が落ち、消化能力も落ちていきます。ですから、秋分の日を過ぎ、餌を毎朝与えていた時間、与えていた餌の量を食べ残すようになってきます。そのようになったら、抱卵用の高タンパク質の餌から、普通の餌または低タンパク質の餌に切り替えていきましょう。
そして、(100円ショップので良いので)すり鉢で餌を細かく砕いて、あたたかい時間に一日一回食べ切れる量をあげましょう。無理して与えていると消化不良で亡くなったり、食べ残して水質悪化を招きます。最終的には12月中旬までには、餌やりをやめます(餌切り)。次に餌を与えるのは春分の日以降の晴れが続く日です。春が楽しみですね。


越冬前に水槽のフンなどを取り除き、綺麗にする。クリアウォーターでもグリーンウォーターでも大丈夫。
餌切りとともに行っていく事は、水槽のメンテナンスです。タネ水を多く残してリセットをしても構いませんし、水槽の2分の1程度の水替えをするのでも構いません。赤玉土を使っている場合、アオミドロやヘドロがない状態にしましょう。ベアタンク水槽の場合は、フンがない状態にしましょう。
理由は、越冬の際に水換えを行うことで水流ができ、メダカの体力消耗やストレスにつながります。なので、越冬前にしっかり行います。それと、冬眠中も排泄はするので、冬眠前最後には綺麗にしておくことが、生存率アップにつながるからです。

クリアウォーターでもグリーンウォーターでも越冬できます。クリアウォーターの場合、メダカの隠れ家になるように、アナカリスや柿の葉、藁などを入れて、餌となる微生物が増える環境を整えてあげましょう。グリーンウォーターの場合は、飼育水そのものが隠れ家であり、餌がある状態なので、変色や異臭を観察しながら飼育していきましょう。

ダルマメダカなどは越冬が苦手
ダルマ体型のメダカは通常体型のメダカよりも越冬が苦手です。寒さが厳しくなると、転覆する傾向にあります。屋外で越冬する場合は、慎重に行い、必要あればヒーターを使った屋内飼育に切り替えることをお勧めします。


保温効果を狙って発泡スチロールの中で飼育する。
浅く小さい水槽は凍結します。同じ大きさでも、発泡スチロールの箱で越冬すると凍結しにくいです。移すなら秋のうちに行いましょう。グリーンウォーターで、メダカ以外何も入れていない場合に、発泡スチロールをふたとして浮かべておくと、保温効果により凍結しません。このように身近なもので、越冬は可能です。発泡スチロールが苦手な方は、口が大きく、深さがあるコンテナBOXや睡蓮鉢で飼育をすることをお勧めします。


台の上に水槽を置き、地面から離して飼育する。
地面からくる冷えは、メダカも同じです。ビール瓶ケースほどの高さに水槽を置いて飼育するのと、地面に直接置いて飼育するのでは、水温の差がだいぶあります。ぜひ、地面から離して、日当たりの良いところで飼育をしてみてください。また、水槽の下に断熱マットなどを敷いたり、側面にプチプチなどの緩衝材を巻くなども寒さ対策になります。

寒冷地はビニールハウスやすだれ・波板を置き、霜、防風、降雨、降雪対策をする。
雪が何センチも積もるような寒冷地では、寒さに強いメダカでも耐えられません。メダカが少量なら園芸用ビニールハウス、大規模なら農業用ビニールハウスを建てて越冬しましょう。たまにしか雪が降らないようでしたら、すだれ・波板を蓋として活用しましょう。霜、防風、降雨、降雪は水温の寒暖に影響を及ぼします。影響を少なくして、越冬させましょう。

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越冬についての疑問
柿の葉・藁を絶対に入れないといけない?
絶対入れないといけないわけではありません。柿の葉には殺菌作用があります。藁を入れれば、微生物が繁殖して、メダカが大きく育ちます。ただ、両方とも入れる際には農薬を除去する必要があります。農薬を除去するには水につけておく必要があります(どちらも用心するなら3週間は水につけましょう)。


藁は水槽に散らばるので、見栄えを気にする方には不向きです。その点を踏まえて、メダカにどう越冬させるか早めに決めましょう。もし、どちらとも入れないけれど、何か水草を入れたいという方がいらしゃるならば、スネールを除去した後のアナカリスがおすすめです。アナカリスは越冬でも、葉が溶けにくく、春から秋にかけて復活し繁茂します。


凍結してしまったら…
凍結しても、メダカは生きている可能性が高いです。無理して氷を溶かそうとお湯をかけたりしないでください。氷を割ることによって、さらに水温が下がってしまう恐れがあります。無理して割らずに、これ以上、氷が厚くならないように、防寒対策をしていきましょう。
越冬中に調子の悪いメダカを見つけたら…
越冬初めは消化不良で調子を崩して元気がない子が出てきます。その場合は、なるべく早めに屋内に移し、塩浴・加温飼育に切り替えましょう。
いよいよ寒くなってくると、体力が無くなってきて水カビ病や尾腐れ病がみられるようになってきます。どちらとも元気がなく、どことなく尾が落ちているように泳いでいるのが上見でも判ります。水カビ病は感染していくので、塩浴や魚薬による早期発見、早期治療が必要になります。尾腐れ病も感染はしませんが、早期発見しないと完治は難しく、致命傷になります。
越冬中は、餌やりの手間、水替えの手間は無くなりますが、水足し中のメダカの観察は必要です。
亡くなっているメダカを見つけたら…
残念ながら亡くなっているメダカを見つけてしまったら、水質悪化をさせないためにも、早いうちに水槽から取り出しましょう。できることならば、観察し、原因が病気ではないことを確認しましょう。残っているメダカの状態も確認しましょう。
まとめ

今回はメダカの越冬方法を徹底解説しました。書いた項目を全て守ろうとすると疲れてしまいます。餌切りをして、水質を整え、できる限りの防寒対策をし、足し水を正しく行いましょう。あとはよく観察しましょう。それと、越冬できそうにないメダカは屋内水槽で飼うことが望ましいです。越冬時期に入っても、天気が良い時は、メダカは水面に顔を出してくれます。そんな時は、メダカを怖がらせず、そっと元気な様子を見守ってあげてください。

