

くっきりとした葉脈が印象的なたいへん美しい水草です。以前はポピュラーな水草でしたが、ネイチャーアクアリウムのようなナチュラルな水景が脚光を浴びるようになってからは、個体の存在感が強いという理由であまり使われなくなった種類でもあります。
そんなハイグロフィラ・ロザエネルビスですが、赤系水草の中では比較的飼育が簡単で、黄緑色から赤色へ変化する葉と葉脈が非常に魅力的。水槽の雰囲気を変えたいという方にぴったりな水草です。
今回は、ハイグロフィラ・ロザエネルビスの特徴や育て方、赤色を維持するポイントなどについて解説します。
ハイグロフィラ・ロザエネルビスの特徴

ハイグロフィラの仲間で、ハイグロフィラ・ポリスペルマの改良品種です。3〜5㎝の楕円形の葉を重ねるように生やしながら成長します。
主な特徴は以下のとおりです。
ハイグロフィラ・ポリスペルマ同様に丈夫
葉と葉脈のコントラストが目を引く
黄緑色・ピンク色・赤色・赤茶色など多彩な色変化をする
葉色の変化は、水質などの育成環境によるものです。特徴的な葉は、ハイグロフィラで最も美しいと賞賛されています。先端の葉が最も鮮やかに赤みを帯びて、根元に近い部分は緑色になることが多いです。
根張りが良く、食害に遭う心配もそれほどありません。中景~後景草として使用されることが多く、育てやすい水草と言って良いでしょう。

ハイグロフィラについて詳しく解説した記事はこちら
-
-
[水草始めるなら!]ハイグロフィラの育て方を徹底解説
ハイグロフィラは、育て方が簡単な有茎草として人気の水草です。たくさんの種類がありますが、その中でも代表的なハイグロフィラについて解説していきます。 これから水草を始めたいと考えている方には最適な水草で ...
続きを見る
ハイグロフィラ・ロザエネルビスはこんな人にオススメ
ハイグロフィラ・ロザエネルビスがオススメなのはこんな人です。
アクセントになる水草が欲しい
優雅な水槽レイアウトにしたい
アクセントになる水草が欲しい
水槽のアクセントになるような水草を取り入れたいと考えている場合は、ハイグロフィラ・ロザエネルビスを検討してみてください。「個性的」「印象的」といったイメージにぴったりですよ。
浮き出たように見える葉脈と葉のコントラストが美しく、黙っていても目に留まる存在です。メリハリのある水景を作ってくれるでしょう。

優雅な水槽レイアウトにしたい
ハイグロフィラ・ロザエネルビスは、赤みを帯びた先端の葉がバラの花のように見えることでも有名です。
レイアウトの一箇所にあるだけでも、バラが咲いたような華やかさを演出できます。中景から少し前方に複数植えると、お花畑のような可愛いらしい水景を作ることも可能です。色や形の異なる水草の中に配置すると、より一層優雅さが引き立ちますね。


ハイグロフィラ・ロザエネルビスの育て方
ハイグロフィラ・ロザエネルビスの育て方について
水上葉から水中葉へ
適応する水温・水質・底砂
必要な光量・CO2・肥料
トリミング方法
の4点を解説します。
水上葉から水中葉へ
ハイグロフィラ・ロザエネルビスは、水上葉で売られていることも多い水草です。水槽に入れると水上葉は枯れるので取り除きましょう。しばらくすると新しく水中葉が展開してきます。
水上葉はやや丸みのある楕円形で緑色をしていますが、水中葉になると細長い形になり、環境によっては赤系の色味が現れますよ。
水上葉のうちは、ハイグロフィラ・ポリスペルマと見分けがつきにくいことがあります。


適応する水温・水質・底砂
水温は、20〜28℃程度に保ちましょう。多少低めの水温にも適応します。
適応水質は、弱酸性~弱アルカリ性(Ph6.0〜7.5)です。どちらかに大きく傾かないように管理していけば大丈夫です。
根張りが良いので、底砂を選びません。ソイルのほか大磯砂や田砂でも育ちます。


必要な光量・CO2・肥料
ハイグロフィラ・ロザエネルビスは、一般的な水草と同程度の光量で十分育ちます。目安は、60㎝水槽で1500㏐程度です。ただし、葉を赤色に保つのであればもっと強い光量が必要になります。緑色でも自然な美しさがありますけどね。
CO2の添加はしなくても育ちますが、葉の赤色を維持したいのであれば必要と考えてください。
肥料は、適度に固形肥料や液肥を与えると美しく成長します。高光量とCO2添加の環境で育てる場合は、相応の栄養が必要になるのでバランスを取りましょう。葉が溶けて白化するようなら、栄養不足の可能性があります。


CO2添加について詳しく解説した記事はこちら
-
-
CO2添加の種類とコツを徹底解説
店頭で見かける綺麗な水草水槽、その多くにCO2添加機器が備わっています。CO2の添加は水草の光合成を促進し健康で色鮮やかに育て上げます。一見難しそうな分野ですが「しっかりとした知識」と「自身に合った添 ...
続きを見る
トリミング方法
トリミングのタイミングは、目安として2〜3週間に一度程度です。環境により成長速度が違うので目安としてください。
ハイグロフィラ・ロザエネルビスは、切り株から新芽を展開するので短めに切っても問題ありません。脇芽も出すので、環境が良ければトリミングの度にボリュームが出てくるでしょう。「成長が遅めだな」という場合は、少し長めに残すと良いです。
切り落とした先端は、底砂に差すと根付いて成長します。元の株の根元が枯れているようであれば引き抜きましょう。元気であれば残して、切れ端を植えていけば、どんどん増えていきます。


ハイグロフィラ・ロザエネルビスを育てる際の注意点
ハイグロフィラ・ロザエネルビスを育てる際に起こり得る以下の3点について、注意するべきことを解説します。
葉が枯れる
葉が赤くならない
茎が間延びする
葉が枯れる
新しい葉の陰になった古い葉が枯れる場合は、光量不足の可能性があります。光合成ができずに枯れているので、トリミングで密度を下げましょう。
トリミングをしているのに葉が枯れる場合は、水槽全体の光量が足りていないのかもしれません。ライトを追加するなど、光量を高く保つようにしてみてください。

葉が赤くならない
ハイグロフィラ・ロザエネルビスの葉が赤くならない原因は、光量不足であることが多いです。高光量・CO2・栄養分のバランスが良い状態を継続するのが赤色を保つポイント。一度赤くなっても、適した環境が続かないと色が戻ってしまいます。
肥料が過剰になると葉が茶色くなる場合があるようなので、様子を見ながら与えましょう。

茎が間延びする
「間延び」は、茎の節と節の間が長くなって、見た目が悪くなる現象です。CO2をしっかり添加している水槽によく見られます。
元気に成長している状態ですが、上に伸びる速度が速過ぎてヒョロッとしてしまうので、見た目を気にするなら、CO2添加量を少し抑えて勢いを落ち着かせましょう。

水草で悩んだらこちらの記事がおすすめです!
-
-
水草が溶ける!?水草がうまく育たない原因を徹底解説
ショップで売られている色とりどりの水草…誰もが一度は購入した経験があるのではないでしょうか?ですが「なかなかうまく育たない」「溶けたり枯れてしまう」などのトラブルが起こりがちです。 閉鎖的な水槽内では ...
続きを見る
ハイグロフィラ・ロザエネルビスのおすすめレイアウト
ハイグロフィラ・ロザエネルビスを使ったおすすめレイアウトをご紹介します。
後景草として活かすレイアウト
ハイグロフィラ・ロザエネルビスは、先端の新芽が最も鮮やかに発色するので、後景に配置して中景草の奥に赤色が見えるようにします。後景の良いアクセントになるはずです。
後景の水草がのっぺりと見えてしまうことはよくあるので、パッと赤みを入れると立体感が増しますよ。レイアウトを引き締めてくれて、緑と赤の対比も美しいです。
成長するとある程度高さが出てくるので、後景草としてうまく活用してみてください。

エキゾチックなレイアウト
アフリカや南米の植物を思わせる個性的な水草(例えばタイガーロータスなど)にハイグロフィラ・ロザエネルビスを合わせてエキゾチックな雰囲気を作ります。水草たちの鮮やかな彩りや独特の存在感を楽しめるようなユニークなレイアウトです。
エキゾチックな模様やラインを持った熱帯魚を導入するとよりムードが出ます。例えば、エンゼルフィッシュやグラミーなどは合いそうですね。
日本の詫び寂びを感じさせる水景には向かないかもしれませんが、こういった形でハイグロフィラ・ロザエネルビスの個性を活かすのも面白いと思います。


まとめ
ハイグロフィラ・ロザエネルビスは、葉脈が特徴的で、ピンク色や赤色になったときに特に美しく、インパクトが強い水草です。
育成条件にはそれほどうるさくなく、タフな種類と言えます。高光量・CO2がなくても育ちますが、ハイグロフィラ・ロザエネルビスならではの赤色を継続させるには、強い光量を維持してCO2も添加することが必要です。
現在、流通量が多い水草ではありませんが、「水槽内のイメージを変えてオシャレにしたい」「個性的な水草が欲しい」という方は、ぜひ導入を考えてみてくださいね。

