「水かび病は他の魚にうつる?」
「水かび病は自然治癒する?」
「水かび病はアグテンで治療できる?」


水かび病はどのような水槽でも起こりえる病気のひとつ。白くモヤモヤしたものがついた魚を発見したら、水かび病かもしれません。
目立つ症状なので、他の魚にうつるか心配になりますよね。水かび病は自然治癒するものなのか気になっている人もいるでしょう。
そこで、本記事では水かび病の症状、原因、予防策、治療について解説します。ぜひ本記事を参考にして、水かび病に適切に対処できるようにしてください。
水かび病とは

水かび病とは、魚の体表に白い綿毛のようなものがつく病気で、別名ワタカブリ病とも呼ばれています。
金魚やメダカ、ベタなどの魚は特にかかりやすいため注意が必要です。
ここでは、水かび病の症状を説明します。

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水かび病の症状
水かび病の特徴は、魚のヒレや体表の一部分に綿毛状のものが付着するところで、綿毛状のものは菌糸体と呼ばれていて、根を張るように魚の体内へ菌糸を伸ばしていきます。

そのまま進行すると徐々に菌糸体の付着する範囲が増えていき、患部が赤く充血することもあるでしょう。
体の組織が破壊されていくことで、魚の食欲や体力が低下していきます。また、最も多い死因は、水かび病の進行により浸透圧調節ができなくなることです。
さらに水かび病は死卵にもよく発生しますので、放置していると生きた卵にまでミズカビが寄生し、卵は死亡してしまいます。
水かび病の原因
水かび病の原因はミズカビ科真菌で、アファノマイセス属やアクリア属、サプロレグニア属などが含まれます。
ミズカビは、どのような水槽にも存在している常在菌です。
ここでは、水かび病に感染する原因と他の魚へうつるのかを解説します。
魚が水かび病に感染する原因は以下の通りです。
外傷がある
他の病気からの二次感染
ストレス
外傷がある
通常、魚が元気な状態であれば水かび病にかかりませんが、外傷があると感染してしまうことがあります。
魚同士のケンカやレイアウトによるケガなどが原因となります。

他の病気からの二次感染
水かび病は、他の病気の患部から二次感染することもあります。
たとえばオグサレ病や穴あき病などの疾患が代表的です。

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ストレス
水質の悪化や急激な水温の変化、過密飼育などで魚にストレスがたまると免疫力が低下してしまいます。
そうなるとケガが発生したときに治りが遅くなり、水カビ病の発症につながります。

水かび病はうつる?
水かび病は魚にケガがなく、体力的にも問題なければ通常はうつりません。
しかし水槽内で水かび病に感染した病魚が出るときは、他の魚も同じ環境下にいることになります。
したがって病魚以外の個体も、水かび病になるリスクはあるといえるでしょう。

水かび病の予防策
水かび病を予防するためには、ケガの発生を抑えることに加え、ストレスを緩和することが重要です。
日頃から以下のような対策を行うとよいでしょう。
ケガを防ぐ
過密飼育をしない
水質の悪化や水温の急激な変化を防ぐ
餌の食べ残しを除去する
エビを導入する
ケガを防ぐ
水かび病は、魚のからだにできた外傷から感染します。
レイアウトの状態によってはケガの原因になるため、水槽内で危ない場所はないか確認してください。
とくに鋭利なものはケガをしやすいため、取り除くようにしましょう。
ただしレイアウトを何回も変えると魚のストレスになるので注意が必要です。

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過密飼育をしない
過密飼育は魚にストレスを与えたり、ケンカにつながったりします。
さらに個体数が多いと汚れがたまりやすく水質悪化が起こるため、水槽の管理も難しくなります。
新しく魚を加えるときは、混泳相性や個体数をよく考えて過密飼育にならないようにしましょう。

水質の悪化や水温の急激な変化を防ぐ
水換えは、きれいな水質を維持するために必須であり、水質が悪化するとオグサレ病や白点病などさまざまな病気にかかりやすくなります。
これらの病気から、二次的に水かび病にもなることもあるので注意が必要ですので定期的に水換えを行い、魚が快適な環境を保つようにしてください。
ろ過装置も汚れがたまりやすいので、一緒にメンテナンスしておくとよいでしょう。

また水かび病は通常、水温20℃以下の環境で発生しやすくなるので、気温にあわせてクーラーやファン、ヒーターを用いた水温調節をしましょう。
なお急激な水温の変化はストレスを与えるため、できるだけ慎重に行ってください。

餌の食べ残しを除去する
魚が食べ残した餌は、水槽の中で養分となり、この養分が水かび病の発生原因となるため、残った餌は取り除くようにしてください。
魚に餌を与えた時に、2分程度で食べ終わる量が適切です。


エビを導入する
ヤマトヌマエビやミナミヌマエビは、ミズカビやコケを食べて掃除をしてくれます。
混泳できそうであれば、水槽に一緒に入れておくのもおすすめです。

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水かび病の治療
ここでは水かび病の治し方をチェックしていきましょう。
以下の内容について解説します。
水かび病は自然治癒する?
塩水浴について
水かび病の治療薬
水槽の掃除
水かび病は自然治癒する?
水かび病は、残念ながら自然治癒する可能性が低い病気です。
水換えや水温管理をしても改善するのが難しいとされているため、安易に様子を見続けるのはおすすめされません。
基本的には、薬浴を中心とした治療が必要となるため早期に対処しましょう。

塩水浴について
塩水浴だけでは水かび病は治せません。
しかし薬浴との組み合わせで、魚の治癒力アップが期待できるでしょう。
塩水浴は0.5%の塩分濃度(10Lの水に対して塩50g)で行います。

水かび病の治療薬
水かび病は、早期に発見して薬浴を行えば治癒を望めます。
治療に使う代表的な薬は以下の通りです。
薬効期間 | 効果 | 水草 | |
アグテン | 2~3日 | 弱め | 枯れることがある |
メチレンブルー水溶液 | 5~7日 | 効く | 枯れる |
グリーンFリキッド | 5~7日 | 効く(おすすめ) | 枯れる |
グリーンFゴールド顆粒 | 5~7日 | 強い | 枯れる |
水かび病が軽症であれば、アグテン、メチレンブルー水溶液、グリーンFリキッドなどを使用しましょう。アグテンは、水草への影響が他の薬にくらべて少ないものの、効果も限定的です。
一方グリーンFリキッドは、メチレンブルーに加えてアクリノールも含まれているため、細菌感染症にも効果があります。
そのため水かび病の第一選択の治療薬は、グリーンFリキッドがおすすめです。

グリーンFリキッドが効かない重症例や、カラムナリス菌などの細菌感染を併発している場合は、グリーンFゴールド顆粒を使用してください。
なおグリーンFリキッドやメチレンブルー水溶液、グリーンFゴールド顆粒は水草や水槽のろ過バクテリアにダメージがあるので、隔離水槽で薬浴を行いましょう。
隔離水槽では酸欠になりやすいので、エアレーションを入れておくと安心です。
薬浴方法として、水槽の水を半分~3分の1ほど水換えしたあとに薬を投与します。それぞれの薬は、必ず用法容量を守って使用してください。また魚に付着するミズカビをピンセットで取り除き、患部に薬剤を直接塗布するのも効果的です。

水槽の掃除
流木や水槽内にも綿状のミズカビが付着している場合、ピンセットでとったりブラシでこすったりするなど物理的に落としましょう。
流木はさらに煮沸しておくとよいでしょう。
水槽の掃除をするときに、水換えやフィルター掃除も合わせて行ってください。

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まとめ
水かび病の症状、原因、予防策、治療について解説しました。
水かび病は常在菌であり、魚が元気で傷がなければ、通常うつることはありません。
しかしケンカや病気で傷ができたり、ストレスを受けたりすると、水かび病を発症する可能性があります。
基本的に水かび病の自然治癒は難しいため、アグテンやグリーンFリキッドなどを用いた薬浴治療を行いましょう。
また日頃から、ケガをしないように工夫したり、水槽内の環境を適切に維持したりすることで、水かび病の発生リスクを下げられます。
ぜひ水かび病の知識をつけて、適切に対処できるようにしましょう。

