

メダカを飼育し始めた時に読んだ参考書やインターネットの記事のメダカたちは、緑色をした水の中にいる写真が多いですね。
メダカ屋でも、緑色をした水でたくさんのメダカたちが飼育、販売されています。今回はこの緑色をした飼育水・グリーンウォーターについて解説していきます。
グリーンウォーターとは

グリーンウォーターは植物プランクトンの豊富な水を指します(逆に澄んだ水はクリアウォーターといいます)。だから、グリーンウォーターには栄養があり、メダカが飼育しやすいです。グリーンウォーターには水質維持作用もあります。
基本的に濾過装置が不要な水です。アンモニアがバクテリアによって亜硝酸になり、亜硝酸が硝酸塩に、それを養分として光合成し、植物プランクトンが育ち、グリーンウォーターができます。こうして、水質浄化サイクルができています。
グリーンウォーターがメダカに与える影響
グリーンウォーターは水質浄化サイクルがあり、飼育しやすい飼育水ということはわかりました。
他にもメダカに与える影響として以下の効果があります。
保温効果
針子、稚魚の飼育にぴったり
色揚げ効果
それでは一つづつ説明していきましょう!
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保温効果
グリーンウォーターの方が冬場の管理が楽です。人工飼育下のグリーンウォーターにはクロレラという植物プランクトンがいます。これは緑色が太陽の光を吸収するときに熱を生じることにより透明な水よりも保温効果が高くなります。

針子、稚魚の飼育にぴったり
生まれたばかりの針子や泳ぐのが上手ではない稚魚の栄養素として非常に効果的な餌になるのが植物プランクトンです。グリーンウォーターは、植物プランクトンが豊富です。肉眼では見えないほど小ささで、基本的には動かないので、針子や稚魚でも簡単に捕食できます。ある程度、成長したら、ミジンコやゾウリムシ、市販の稚魚の餌も合わせて与えて飼育しましょう。


色揚げ効果
グリーンウォーターの中に含まれるカロチノイド色素が、メダカの色揚げ効果に役立っています。グリーンウォーター内の植物プランクトンを楊貴妃メダカや紅帝メダカ、三色メダカが捕食し、カロチノイド色素を体に吸収し蓄積し、色揚げ効果となります。

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グリーンウォーターの作り方
では、実際にグリーンウォーターを作ってみましょう。
用意する物
カルキ抜きした水道水または飼育水(水温は25度〜30度前後)
園芸用の液体肥料(最初だけ使う。グリーンウォーターに必要な窒素、硝酸、亜硝酸、リン、ケイ素などが豊富である)
日当たりのいい場所
容器
エアストーンが付いたエアレーション
液体肥料ではなく、グリーンウォーターに含まれる植物プランクトンの生クロレラを種水にして、グリーンウォーターを作ると、失敗しません。
液体肥料に抵抗があり、生クロレラは割高だと思う場合は、キョーリンからイージーグリーンという商品も出ています。秋、冬でもグリーンウォーターが作れるように開発されているので、お勧めです。

容器は、白、透明、青など紫外線を通しやすい容器を選びましょう。黒やグレーは紫外線を通し辛いので、なかなかグリーンウォーターのタネ水は出来にくいです。タネ水を白い容器などで作り、それを黒い容器などで薄めて使うことは可能です。紫外線を通す観点から、底が浅い容器にすると良いです。

飼育場所の広さに限度がある場合には、ペットボトルで、濃いグリーンウォーターのタネ水を作り、水槽で薄めて使うことも可能です。
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作る時の注意点
水温は高すぎず、低すぎない温度で作りましょう。
生き物(特にエビ)がいる容器に直接、液体肥料を入れるグリーンウォーター作りは害が出るかも知れないので、やめましょう。必ず、タネ水を作ってから、薄めて使うようにしましょう。
- 夏など光が当たりすぎると、グリーンウォーターにならないです。日当たりが良すぎる場合は、日除けをしましょう。
- 水道水よりも、メダカを飼育している飼育水をそのまま使用する方が、アンモニアが入っているので、作成が成功しやすいです。
- 秋でも晴天が続けばグリーンウォーターを作れますが、台風だったり天気が悪い状態が続くと作りづらくなります。寒くなって真冬になってくると、水温が低くなるので、作るのが難しいです。越冬を目的でグリーンウォーターを使う予定の方は、夏の終わりくらいまでに準備しましょう。
- 水草、タニシ、底砂、ろ過フィルターは水中の栄養を吸収したり、水をきれいにしてしまい、グリーンウォーター作りには、逆効果です。入れないようにしましょう。


水槽などで作る場合
- 日当たりのいい場所で、容器にカルキ抜きした水道水または飼育水を置きます。
- そこに園芸用液体肥料を入れます。10Lあたり4ml入れます。
- 2週間くらい置きます。その時にエアレーションまたは2、3日に1回水をかき混ぜます。
ペットボトルで作る場合
- 日当たりのいい場所で、ペットボトルにカルキ抜きした水道水または飼育水を置きます。
- そこに園芸用液体肥料を入れます。2Lあたり0.8ml(水が薄く水色になるくらい)入れます。
- 1週間くらい置きます。その時にエアレーションをします。
グリーンウォーターの注意点
グリーンウォーターの容器とメダカの飼育容器を分けて、必要に応じて添加するほうが扱いやすいです。メダカ飼育での濃さは飼育容器の底が薄っすら見える程度がおすすめです。タネ水も飼育水も、植物プランクトンが増殖しすぎたグリーンウォーターは、不快な臭いがしたら、タネ水から作り直しましょう。そのほかの注意点をまとめました。
保温効果が夏だと裏目に
グリーンウォーターは水温が上がりやすいです。夏だと、容器や日当たりなどの環境によって、クリアウォーターに比べて10度以上の水温差が出てしまいます。夏はクリアウォーターでの飼育、秋冬はグリーンウォーターで飼育するなど切り替えが必要です。

切り替え期間中は、日除けなどで水温が上がらないように工夫しましょう。また、メダカにPHショックを起こさせないためにも、急に移行しないようにしましょう。徐々に水質を変化させていきましょう。
夏場の夜間の酸欠に注意が必要
植物プランクトンは夜間、酸素を吸収し、二酸化炭素を排出します。真夏の溶存酸素量は真冬の3分の1程度です。水温が高いだけでも酸欠になりやすい環境です。真夏の濃いグリーンウォーターは、植物プランクトンが多く含まれており、多くなった植物プランクトンの酸素の補給により、水槽内はさらに酸素が不足します。一晩のうちにメダカが全滅してしまうこともあります。

夏場はグリーンウォーターの濃さを確認し、水換えはこまめに行い、グリーンウォーターを薄めた環境で飼育するようにしましょう。飼育水が緑色に色付くことで、メダカを観察しづらくなるので、メダカの病気やヤゴの発生など異変にも気をつけましょう。
牡蠣殻との相性は悪い
グリーンウォーターは、浄化サイクルのバランスが取れた状態ですが、PHが弱アルカリ性です。弱酸性の透明な飼育水(クリアウォーター)に比べて、アンモニアがたまりやすいです。
そこへPHを調整しようと牡蠣殻を投入すると、牡蠣殻の浄化作用で植物プランクトンが減り、浄化サイクルのバランスが崩れてしまいます。そうなると、メダカが体調を崩したり、落ちるケースも出てきます。
牡蠣殻は大量投入しなければ水質も安定します。牡蠣殻を投入する際は、少量から始めるようにしましょう。
室内でもグリーンウォーターは使用可能
グリーンウォーターの使用はできますが、日差しの強い窓辺に水槽を設置するか、植物が育つくらいの強めのライトがないと難しいです。
まとめ
今回はグリーンウォーターについて説明しました。メダカの飼育は必ずグリーンウォーターで行わなくてはいけないものではありません。「次の年の針子や稚魚の飼育をグリーンウォーターで育ててみよう」、「来年の越冬はグリーンウォーターに挑戦してみよう」そんな気軽な気持ちでメダカを飼育してみてください。きっと、あなたに合ったメダカの飼育方法が見つかるはずです。

