

海の魚として有名なカレイですが、淡水で生活するカレイの仲間も実は存在します。しかも、北米淡水カレイは、自宅の水槽で飼育することができる可愛い小型のカレイなのです。
ちょっとマニアック感はありますが、とってもユーモラスで愛嬌のある淡水カレイについて知識を深めてみませんか?淡水カレイの中でも比較的育てやすい北米淡水カレイの飼育方法について解説しますので、ぜひご覧ください。
北米淡水カレイはどんな魚?

北米淡水カレイは、淡水で育つアメリカ原産のカレイの仲間です。北米淡水カレイの特徴・寿命・生態を詳しく見ていきましょう。
北米淡水カレイの特徴
海のカレイと同様に、平べったい体をしていて、有眼側には砂のような模様が見られます。色や模様は、環境によって変化しますよ。最大体長は10㎝程度で、2〜3㎝の幼魚が1,000〜2,000円程度で売られていることが多いです。

淡水カレイは生息地によって体長に違いがあり、南米淡水カレイは20㎝以上になることがあります。日本にもヌマガレイという淡水カレイがいて、40㎝以上にもなるので、自宅での飼育はハードルが高いかもしれませんね。

北米淡水カレイの飼育難易度は高くありません。小型で、純淡水の熱帯魚水槽で飼育できるので、初心者が始める淡水カレイとして一押しの種類ですね。

北米淡水カレイの寿命・生態
北米淡水カレイの寿命は10年程度で、比較的丈夫で長生きです。
性格は温厚で、活発に泳ぎ回るというよりも、底砂に潜ったり壁に張り付いたりする様子をよく見かけます。ヒレを動かしながら底床の上をモゾモゾ移動する魚らしからぬ姿が可愛いですよ。
本来は夜行性なので、水槽のライトが消えてから活発に活動しやすく、点灯中は砂に潜る行動が見られます。

肉食性が強いため、人工飼料で餌付けすることが非常に難しく、小魚やエビなどの生餌を用意しなければなりません。慣れるまでの初期の給餌は、やや手間がかかると考えておきましょう。

北米淡水カレイがオススメなのはこんな人
北米淡水カレイをおすすめしたいのはこんな人です。
レアな淡水魚に興味がある
魚の面白い生態を観察したい
水草をたくさん植えて美しい水景を作るよりも、珍しい生体を飼ってみたいという場合にぴったりなのが、北米淡水カレイです。
一般的に海の生物と思われているカレイを飼育するレア感もありますが、通好みのユニークな習性をたくさん披露してくれるのが非常に魅力的。底砂に擬態して眼だけ出していたり、水槽のガラスにくっついていたり、顔だけ上げてこっちを見たり、花びらが舞うように素早く泳いだりします。愛嬌のある動きに、つい心を奪われてしまいますよ。
飼い主に慣れると、餌を求めて寄ってきたり、ダンスのような動きで餌が欲しいアピールをする子もいるようです。可愛いですね。
北米淡水カレイは、有眼側でも壁に吸着するという珍しい特性があるので、そんな姿も自宅で見られるかもしれませんよ。


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北米淡水カレイの飼育方法
北米淡水カレイの飼育方法について、以下の内容で解説します。
水槽環境
底砂とレイアウト
給餌
水槽環境
1匹の飼育でも、45㎝水槽以上がおすすめです。購入時は小さいかもしれませんが、10㎝大になったときに30㎝水槽では少し窮屈そうな感じになります。2匹以上であれば60〜90㎝程度の水槽を用意しましょう。飛び出し防止のためフタは必須となります。

水温は22〜26℃に保ち、水質は弱酸性〜中性(pH6.5〜7.0)で管理しましょう。それほど水温・水質にうるさくはありません。28℃を超えるような高水温が継続すると弱るため、必要に応じて夏場は水槽用クーラーを使ってください。
底砂に潜る習性があるので、底面式フィルターは不向きです。外部式・上部式のフィルターを使いましょう。

北米淡水カレイは、きれいな淡水域に生息しているため、汚れた飼育水を嫌います。こまめな水換えを行い、同時に清掃用ホースを使った底砂清掃も忘れないでください。底床で生活するので、底砂を清潔に保たないと病気になりやすいです。

底砂とレイアウト
北米淡水カレイが潜りやすく、怪我をしないような細かい底砂を選びましょう。ボトムサンドや田砂は、きれいで鑑賞性が高い砂なのでおすすめです。ソイルは、潜ったときに巻き上がる可能性があるので避けたほうが無難かもしれません。
底砂は、北米淡水カレイが潜れるくらいの厚さで敷きます。水草を植えても良いですが、底床にはゆったりと潜れるスペースを確保してください。


複雑なレイアウトにすると、餌を食べているかなど様子を確認しにくく、底砂掃除も大変なので、できるだけシンプルなレイアウトが良いでしょう。尖った流木や石で怪我をしたり、機材などの隙間に挟まって死んだりすることもあるので、事故が起こらないような環境を作ってあげたいですね。



給餌
赤虫やイトメなどの生餌を用意します。小分けパックになった冷凍赤虫がよく使われていますよ。人工飼料だと食いつきが悪いので、生餌は必須です。
自分から餌を探しに行くということはまずないので、口元に置くなどして餌を認識してもらうという給餌方法になります。なかなか気づかないこともあるので、根気よく見守りましょう。


夜行性なので、明るい環境では餌を食べない場合があります。食べないようなら消灯時に与えてみてください。
難易度は高いですが、人工飼料を試す場合は、沈むタイプの餌が適しています。生餌に人工飼料を混ぜながら慣れさせていきましょう。

北米淡水カレイを飼育する際の注意点
北米淡水カレイの生態に由来する飼育上の注意点は以下のとおりです。
混泳生体を捕食する危険性
餓死を防ぐ
しっかり閉まるフタとヒーターカバーが必須
混泳生体を捕食する危険性
北米淡水カレイは肉食性が強いため、混泳相手を食べてしまう可能性がとても高いです。小型の魚やエビは餌と見なされるので混泳には向きません。プレコ・コリドラスなどの生活エリアが同じ魚も餌の取り合いになります。

大きさが同じような生体・同種の生体であれば混泳させることはできますが、北米淡水カレイの上層を泳ぐ魚は、餌を横取りする可能性があるので注意が必要です。難易度を上げないためには、カレイ同士の飼育もしくは単独飼育がおすすめですね。

餓死を防ぐ
北米淡水カレイは、餌に敏感に反応するタイプではなく、何でも食べるというわけでもないので、餌を食べられずに餓死することがあります。給餌がうまくいっていないことが、長く生きられない原因である場合が多いです。
混泳魚がいる場合は、餌が行き渡っているか特に注意して観察しましょう。混泳魚に餌を横取りされる状態が続くようであれば、単独か同種同士の飼育に切り替えたほうが良いです。


しっかり閉まるフタとヒーターカバーが必須
北米淡水カレイは、意外にもジャンプ力があり、水槽から飛び出しやすい魚です。小さな隙間からも飛び出すので、ぴったりと隙間なく閉まるフタを選びましょう。


CO2添加装置などの機材が多いと、配線を考慮して穴あきのフタを設置する場合が多いと思うので、隙間があればきちんと塞いでください。環境に慣れていない導入初期に特に飛び出しやすいので、給餌の際にも注意が必要です。
水槽内にヒーターを設置する場合は、剥き出しではなく必ずカバーを取りつけましょう。底面だけではなく、水槽の側面にも吸着しながら這うように移動するので、直接触れて火傷してしまう可能性があります。
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北米淡水カレイの繁殖
北米淡水カレイは、飼育下での繁殖は難しいと考えられます。繁殖に関する情報が少ないため、大部分が謎に包まれているというのが正直なところです。
稀に、水槽内で知らないうちに稚魚が産まれていたということもあるので、繁殖を狙うのであれば、良好な飼育環境をキープしながら複数匹飼育しましょう。気づいたら小さなカレイが誕生しているかもしれません。


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まとめ
北米淡水カレイは、特有の習性や行動が不思議で面白く、非常に興味深い魚です。大型水槽でなくても飼育可能で、環境への柔軟性・丈夫さもあるので、淡水カレイの中では一番飼いやすいと思います。
給餌や混泳にひと手間かかりますが、それが北米淡水カレイの特性に触れる良い機会にもなるので楽しんでいただきたいですね。

