

ブラックゴーストという熱帯魚をご存じでしょうか。アクアショップで見かけて、その奇妙な姿に興味を持たれた方もいるかもしれませんね。「黒い幽霊」と名づけられたこの魚は、水族館で展示もされており、不思議な姿や泳ぎが目を引く面白い熱帯魚です。
ただし、売られている稚魚から想像しにくいほど意外に大きくなるので、
水槽のサイズ
飼育環境
飼育難易度
について不安に思う場合も多いと思います。ブラックゴーストは単独飼育が基本ですが、飼育はそれほど難しくありません。今回は、ブラックゴーストの特徴や飼育方法について解説しますので、ぜひご覧ください。
ブラックゴーストはどんな魚?

ブラックゴーストはデンキウナギ目に属する古代魚で、南米に生息しており、アマゾン川などで見ることができます。

ブラックゴーストの特徴
肉食系の淡水魚で、寿命は5〜10年程度です。体は、包丁のような形をしており、腹から尾にかけての長いヒレをヒラヒラさせながら前にも後ろにも泳ぎます。
体色は真っ黒ですが、尾にある白色の模様がチャームポイント。この独特の姿と泳ぎ方がオバケのように見えるのが名前の由来です。
夜行性で、目は退化してほとんど見えないと言われており、微弱の電気を発して餌などを探索しています。人間が感知できるほどの電気ではないので、その点の注意は特に必要ありません。
臆病な性格で、物陰に隠れる習性があります。明るい昼間は隠れて姿を見せず、暗くなると活発に泳ぎ回りますよ。
5〜7㎝の稚魚が1,000円程度で売られています。

最大体長や成長速度は?
自然界では50㎝程度まで成長しますが、水槽飼育では最大30〜40㎝程度と言われています。稚魚で購入する場合は、7〜8倍のサイズになる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
ブラックゴーストの成長速度は、環境にもよりますが、年に1~5㎝程度を目安に考えてください。そこまで急激に大きくなるわけではありません。稚魚は、もう少し成長速度が速いです。

ブラックゴーストがオススメなのはこんな人
ブラックゴーストをおすすめしたいのはこんな人です。
古代魚を飼育してみたい
在宅する夜に魚を見たい
カッコイイ中~大型魚に興味がある
自宅で飼育できる古代魚の中では、サイズが控えめで飼育しやすいです。アロワナなど1mまで成長する古代魚が多いので、スペースや管理面で大分楽に飼えるでしょう。古代魚の神秘的な部分を持ちながら、白黒ツートンの見た目がスタイリッシュでカッコイイです。
夜行性で日中は隠れて動かず、暗くなると泳ぎ回ります。自宅に居ない昼間にブラックゴーストを休ませて、帰宅した夜に泳ぎを観察できるのは双方にとって良い環境になるかもしれませんよ。

ブラックゴーストの飼育方法
ブラックゴーストの飼育方法について以下の内容で解説します。
水温・水質
水槽サイズ
ろ過・エアレーション
底砂・掃除
照明・水草・隠れ家
給餌
水温・水質
適応水温は、22〜28℃です。25℃以上を保つと白点病対策になります。
水質は、弱酸性〜中性(pH6.0〜7.5)付近に保ちましょう。極端に偏らなければあまり神経質になる必要はありません。
ただし、水質変化に敏感なところがあるので、水換えなどで急激に環境が変わらないように注意しましょう。

水槽サイズ
成長後のブラックゴーストの大きさを考慮すると、単独でも90㎝水槽以上が理想です。体長30㎝以上の個体に対して60㎝水槽だと、あまり動くことができず、旋回がしにくそうに見えます。
いきなり90㎝水槽を買うのが不安であれば、成長と共にサイズアップする手もありますよ。

ろ過・エアレーション
サイズが大きく肉食なので、水を汚しやすい魚です。ろ過機能が高い上部式・外部式のフィルターをおすすめします。
水槽環境を良好に保つためにエアレーションをしましょう。一般的に水流を好まないので、強い水流を作るエアレーションは必要ありません。

底砂・掃除
底砂を入れてもベアタンクでも飼育可能です。底砂があると、自然界に近く落ち着ける環境となりますが、掃除の手間が増えます。底砂を入れるなら薄く敷いて、汚れが蓄積しにくく掃除しやすいようにしましょう。
ベアタンクは少し味気ないのですが、食べ残しや糞などが見やすく掃除が簡単なのがメリット。水槽内を清潔に保つには良い環境で、ブラックゴーストによく使われる飼育方法です。
水換え・底砂掃除は週1回程度行います。急激な水質変化には注意が必要です。水換えの量は、1/4から様子を見ましょう。汚れた飼育水や底砂が原因で死ぬことがあるため、水換え・底砂掃除を怠らないでください。

照明・水草・隠れ家
明るくない環境を好むので、強いライトは避けて、青色など暗い色味のライトを選ぶと良いです。日中の自然光がある場合は、昼は消灯して、夜に暗いトーンのライトを点けると夜間に動きを観察しやすいでしょう。

日中の明るい時間は、動きが鈍くなり隠れ場所があれば隠れたがります。トンネルのような隠れ家があると落ち着けるので入れてあげましょう。
水草は必須ではありませんが、自然界に近づける意味で、あったほうがブラックゴーストにとって落ち着く環境になります。アヌビアスナナなどの活着系の陰性水草は、ベアタンクにも導入できておすすめです。
レイアウトは、遊泳の邪魔にならず掃除がしやすいシンプルなスタイルが良いでしょう。

給餌
自然界では水中の虫などを食べています。生餌はもちろん好んで食べますが、冷凍赤虫やキャットのような肉食魚用人工飼料で飼育可能です。人工飼料への食いつきが悪い場合もあるので、冷凍赤虫から徐々に人工飼料へと慣れさせていきましょう。栄養バランス面でも人工飼料を与えられるようにするのがおすすめです。
1〜2分で食べきれる量を1日2回を目安に与えてください。夜行性なので、明るいうちに餌を食べないことがあります。食べなければ、暗くしてから餌を与えてみてくださいね。

ブラックゴーストを飼育する際の注意点
ブラックゴーストの飼育上の注意点は以下のとおりです。
混泳は難易度が高い
横になって寝る
白点病になりやすい
混泳は難易度が高い
基本は単独飼育を推奨します。水槽の中で、ブラックゴーストの電気探査レーダーにひっかかる生体がいるとストレスになると言われており、混泳相手が捕食対象になるので難易度が高いのです。また、複数飼育ほど水質が悪化しやすく、丁寧な管理が欠かせません。
とは言え、混泳に成功している例もあります。挑戦する場合は、サイズが同じくらいでブラックゴーストに捕食されない種類にしましょう。中型プレコ・小型ポリプテルスなどがおすすめです。中型魚相手でも、目だけ食べられるなど、混泳の失敗が有り得ます。退避させる水槽の準備をしておきましょう。
同種・近縁種は争いが激化しがちで、殺し合うほどなので混泳は避けましょう。

横になって寝ることがある
隠れ家などで安心すると倒れたように横になっていることがあります。死んだと思ってしまう光景ですが、休んでいるだけなので心配いりません。
仰向けになって寝ている様子が見れることもあるようですよ。

白点病になりやすい
白点病は体に白色の斑点が現れる病気で、低温下だと発症しやすくなります。水温を25℃以上に保ちましょう。導入後1週間は、特に注意して様子を見てください。
ブラックゴーストは薬浴に弱い魚です。症状が出た場合は、普段より2〜3℃水温を上げ、水換えを増やします。次の手段として塩水浴(塩分濃度0.5%)を試すのも良いです。それでも症状が治まらなければ、規定量の1/3程度に薄めた状態で薬浴を行ってください。

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ブラックゴーストの繁殖
ブラックゴーストは繁殖が難しい熱帯魚です。「複数で飼育したら産卵していた」という事例はあるものの、狙って繁殖させるのは運の要素が強く、困難を極めます。
同種で喧嘩するため混泳が難しい
オス・メスの判別がつかない
以上が繁殖が難しい理由です。
オス・メスで見た目の違いがないため、5匹くらい混泳させてオス・メスのペアができる確立を高めるしか方法がないのが実状ですね。大きな水槽が置ける環境であれば、複数飼育して気長に繁殖を待ってみると良いでしょう。混泳自体も難しいので難易度は高いです。
もし産卵が確認できたら、捕食される前に隔離しましょう。5日程度で孵化するため、稚魚にはブラインシュリンプを与えてください。

まとめ

小型水槽で飼えないこと、混泳が難しいことを除けば、ブラックゴーストの飼育難易度はそれほど高くありません。成長速度も稚魚からの成長期を過ぎれば緩やかになるので、徐々に水槽をサイズアップすることもできます。
何よりも、ブラックゴーストの独特な姿や動きに愛着が湧くこと間違いなしですよ。神秘的な魅力を持つ古代魚をご自宅で楽しんでみませんか?

