

透明な体を持つ不思議な熱帯魚、トランスルーセントグラスキャットについてご紹介します。骨が透けて見え、なんとも神秘的。「妖精」や「神の使い」といったこの世のものではないオーラを放っています。
透明感のある魚種の中でも、特に透明度が高く、群泳する様子が美しいのが一番の魅力です。繊細そうに見えますが、意外と丈夫な魚だということをご存じですか?
今回は、見た目に似合わず飼いやすいトランスルーセントグラスキャットの特徴や飼育方法について解説します。
トランスルーセントグラスキャットはどんな魚?

東南アジア原産のナマズの仲間で、トランスルーセントグラスキャットとは「半透明なナマズ」という意味です。
トランスルーセントグラスキャットの特徴
体が透明だからか、パッと見たところはナマズっぽくないですが、よく見ると長い口ヒゲがあり、顔を正面から見るとナマズ顔をしていますよ。内臓がギュッと頭側に集まっていて、体のほとんどが骨のように見えます。
体長は8〜10㎝まで成長し、寿命は3〜5年程度が一般的です。臆病で温和な性格をしており、複数匹で群れることでストレスが和らぎ長生きします。他の熱帯魚との混泳にも向いていますよ。
仲間で群れることを好み、中層を群泳する習性があるため、単独飼育は避けましょう。1匹500円程度で購入できます。

とにかく物陰に隠れる
夜行性であるため、明るい環境下では、じっと物陰に隠れる習性があります。底で動かなかったり、姿が見えないこともありますが、消灯して暗くなると活発に泳ぎ始め、餌もよく食べますよ。
とても怖がりなので、環境に慣れるまでは物陰に隠れがちです。導入初期は、あまり騒がしく水槽内をいじったりせず、脅かさないようにそっと様子を見ましょう。
1匹で飼っていると餌のタイミングでも隠れて出てこず、衰弱してしまうことがあります。

トランスルーセントグラスキャットがオススメなのはこんな人
こんな人に、トランスルーセントグラスキャットをおすすめします。
ちょっと変わった熱帯魚を飼いたい
群泳を楽しみたい
エビや小型熱帯魚と混泳させたい
水草を引き立てる熱帯魚が欲しい
透明な体が重なり合いながら群れで泳ぐ姿は、非常に美しいです。ガラスのようにキラキラと水草の前を泳ぐので、グリーンとのコントラストが素晴らしく、水草もきれいに見せてくれます。水草をかじる心配もありません。
テトラ類やグッピーなどほとんどの小型熱帯魚やエビと混泳できる温厚でクセのない種類です。体が虹色の光沢を放つこともあり、独特の雰囲気が漂います。
他にも独特のフォルムを持つ生体がいるよ!
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トランスルーセントグラスキャットの飼育方法
トランスルーセントグラスキャットの飼育方法を以下の内容で解説します。
水温・水質
水槽サイズ
ろ過・底砂
隠れ家
給餌
水合わせ・水換え
水温・水質
水温は、22〜27℃に保ちましょう。
適正水質は、弱酸性〜中性(pH6.0〜7.0)です。水質に神経質ではないので、ある程度は弱アルカリ性になっても適応してくれます。

水槽サイズ
群れで飼ってあげないとストレスで死んでしまうことがあるため、45㎝水槽以上が理想です。45㎝水槽で4匹程度を目安にすると環境が安定するでしょう。
群れで生活させると、環境に適応しやすくなるなど長生きにつながりますよ。照明点灯時などにびっくりして飛び出すことがあるため、水槽のフタは必須です。

ろ過・底砂
特にフィルターの種類を選ぶ魚ではありません。なかなか食欲旺盛なので、上部式・外部式の濾過能力が高いフィルターにしておくと安心でしょう。
水槽の底に沈んで休むことはありますが、活動時は主に中層を泳ぐので、大磯砂やソイルなど扱いやすい底砂を選ぶと良いです。


隠れ家
トランスルーセントグラスキャットは、とても臆病で薄暗い所を好むので、とにかくどこかに隠れたがります。レイアウトを組む際には、隠れ家になる場所を用意してください。
背の高い水草を配置したり、密生水草で陰になる部分を作っても良いですね。石や流木を使って隠れ家にしてあげるのもおすすめです。
安心できる環境を作ることが長く元気でいてもらう秘訣ですよ。

給餌
何でもよく食べるため、人工飼料での飼育が簡単です。赤虫なども好きですが、栄養バランス面から人工飼料を中心に与えましょう。
一般的なフレーク状の餌を食べますが、沈むタイプを与えている人もいます。個体によって食べやすい形状が異なるようです。食べやすさ・水の汚れ方・混泳魚の種類によって選んでみてください。
夜行性で暗いときに餌をよく食べるので、最初は消灯後に給餌してきちんと餌を食べてもらいましょう。まずは、最初の餌付けを成功させることに注力してください。慣れたら、点灯時に与える訓練をすると明るい時間に食べるようになります。

水合わせ・水換え
タフな魚ではありますが、ストレスに弱いため、最初の水合わせや水換えは慎重に行いましょう。急激な環境変化はストレスを与えます。
水質悪化で体調を崩しやすいため、クリーンな環境を維持するのも上手く飼うポイントです。

トランスルーセントグラスキャットを飼育する際の注意点
トランスルーセントグラスキャットの飼育上の注意点は以下のとおりです。
ヒゲが溶ける・体色が濁る
混泳の相性
必ず複数匹で飼う
ヒゲが溶ける・体色が濁る
体調が悪いと透明な体が白く濁ったり、背びれが赤く色づくことがあります。ヒゲが溶けて短くなっている場合も弱っているサインです。
ストレスや水質悪化が原因であることが多いので、環境を整えてあげれば体色は元に戻りますし、他のナマズ同様にヒゲ再生もしてくれますよ。
逆に、体調が良いと光によって体が虹色に輝くのを見ることができます。

混泳の相性
トランスルーセントグラスキャットは、縄張り意識がなく穏やかなのですが、稚魚や2〜3㎝程度の小さな魚は食べられてしまう可能性があります。食事目的で食い荒らすという感じではなく、「口に入ってしまうかも」というイメージです。
エビとの共存もできますが、小型のミナミヌマエビは口に入ってしまうことがあるようですね。ヤマトヌマエビであればその心配はないでしょう。
臆病で大人しいので、攻撃的な魚種との混泳には向きません。

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必ず複数匹で飼う
1匹だと物陰に隠れて出てこなくなる場合があります。仲間がいないストレスで食欲がなくなって死んでしまうこともあるので、必ず複数匹一緒に飼ってあげましょう。5匹以上で群れを作れるようにできたら理想的ですが、水槽サイズに合わせて2匹からでも良いです。
複数で飼うことで安心して泳げますし、群泳がとても美しいので、見る側としてもたくさん混泳させるのがおすすめですよ。

トランスルーセントグラスキャットの繁殖

トランスルーセントグラスキャットの繁殖は非常に難しいです。繁殖例がほとんどなく、繁殖方法も確立されていません。
自然界では、東南アジアの乾季と雨季が繁殖に関係していると言われており、環境の再現が難しいことも繁殖を狙えない理由の一つと考えられます。
見た目でオス・メスの判別ができないので、複数匹混泳させていれば、もしかしたら産卵してくれるかもしれませんけどね。現実的には、飼育下での繁殖は不可能に近いでしょう。

まとめ
トランスルーセントグラスキャットは、見た目は特殊ですが、クセがなく飼いやすい熱帯魚です。怖がりで夜行性であるという特徴を理解して、ストレスを与えない環境を整えてあげると長く楽しむことができます。
水草・小型魚・エビなどと無理なく組み合わせることができるオールマイティーな部分も大きな魅力です。美しさや不思議さに魅せられた方は、初心者だからといって敬遠せずにぜひ飼育してみてくださいね。

