

バタフライフィッシュは、一般的な家庭で飼える大きさの古代魚です。体長1mになることがあるアロワナの仲間ですが、バタフライフィッシュは成長しても15㎝以上になることはありません。
アクアショップでも取り扱いが少ない珍しい魚なので、見ることができたらラッキーです。とてもエネルギッシュで小難しそうな姿をしていますが、実際は飼いやすい部類と言えます。
そんなバタフライフィッシュの特徴や飼育方法を解説しますので、ぜひご覧ください。
バタフライフィッシュはどんな魚?

生息地は、西アフリカの穏やかな川や湖です。アロワナ目パントドン科パントドン属に属し、「パントドン」と呼ばれることもあります。
バタフライフィッシュの特徴
羽のような胸ビレを持ち、上から見ると蝶のようにヒレが広がっていることからその名が付きました。胸ビレの模様や上から見た全体像は、蝶というより蛾に似ている気がしますけどね。
水槽飼育での最大体長は15㎝程度。顔を見ると、しゃくれた大きな口があってアロワナと同じ雰囲気があります。胸ビレ以外のヒレも大きく発達していて、斑点模様のある砂色〜茶色系の体色です。
寿命は3〜5年程度と古代魚としては短いですが、丈夫で温和な性格のため、飼育は難しくありません。肉食性・夜行性という特徴もあります。

バタフライフィッシュは飛ぶ?泳ぎは?
バタフライフィッシュは、胸ビレで羽ばたくようにして水上に飛び上がることもできます。自然界では、水面付近を飛ぶ昆虫を捕って食べるんですよ。
泳ぎはあまり得意ではなく、大きな尾ビレと尻ビレをゆらしながら、水面のすぐ下をゆったりと泳ぎます。実は、水面付近で胸ビレを広げたままじっとしていることも多いです。
夜行性なので、夜のほうが元気で、明るい時間帯は暗がりに隠れてじっとしていることが多くなります。

バタフライフィッシュの購入方法
5〜6㎝の稚魚が1匹1,000〜3,000円程度で販売されています。
珍しい魚種を置いているアクアショップでは取り扱いがあるかもしれませんが、どこでも買える熱帯魚ではないですね。入荷してもらえるかお店に聞くのも一つの手です。ネットショップでも数は少ないですが見かけますよ。

バタフライフィッシュがオススメなのはこんな人
バタフライフィッシュはこんな人におすすめです。
珍魚を飼いたい
野性味あふれるアクアテラリウムをやりたい
優雅な泳ぎや美しさではない楽しみを求める
アクアテラリウムに導入する人も多く、水上にジャンプして餌を捕る様子を見れるのが魅力です。ハイタイプの水槽を使うと、水量を確保しつつ、陸地部分もしっかり作り込めますよ。
姿の美しさや泳ぎで魅了する種類ではありませんが、生きた化石と言われる古代魚の神秘性や物語性を感じられる趣深い熱帯魚です。じっくり飼い込んで、独特な生態を観察してみるのはいかがでしょうか。
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バタフライフィッシュの飼育方法
バタフライフィッシュの飼育方法について、以下の内容で解説します。
水温・水質
水槽・ろ過
底砂・隠れ家
給餌
水温・水質
適応水温は、24〜28℃です。26℃以上に保つと白点病予防になります。
水質は、弱酸性〜中性(pH6.0〜7.0)に保つのがベストです。水質にうるさくないので、多少ずれても適応してくれます。
水槽の1/3程度の水換えを1週間に1回行いましょう。

水槽・ろ過
1匹でも最低45㎝水槽以上を用意しましょう。混泳であれば60㎝水槽以上になります。肉食魚なので、水質管理の観点からも大きな水槽のほうが管理が楽です。
水上に飛び出す習性があるので、しっかり重みのあるフタを設置してくださいね。
ろ過装置は、水槽サイズや混泳魚に合ったもので問題ありません。60㎝水槽以上であれば、上部式か外部式のフィルターがおすすめです。水流を好まないので、エアレーションは極力弱くしましょう。

底砂・隠れ家
底砂は、水質を大きく変化させるものでなければ何でも良いです。ベアタンクでも全く問題ありません。
水面に届く背丈の水草や浮草で、バタフライフィッシュが身を隠せる場所を作ってあげましょう。臆病でじっとしていることも多いので、上層でちょっとした陰になる所を確保してください。水草を入れすぎて遊泳の邪魔にならないように注意が必要です。

給餌
メダカやコオロギなどの生餌を好んで食べます。赤虫も好きですが、沈むと食べないので目の前に置いてすぐに食いつくようにすると良いです。
慣れるまで時間がかかる場合もあるので、焦らず、ピンセットで口元に運ぶように与えてください。水面の揺れを気にして餌を食べないこともあります。
クリル・カーニバルなどの人工飼料を餌付けすることも可能です。最初は食いつきが悪くても、根気よく慣れさせていきましょう。
給餌に慣れたら、1〜2分で食べきれる量を1日1〜2回与えるのが目安です。

バタフライフィッシュを飼育する際の注意点

バタフライフィッシュの飼育における注意点について、以下の内容で解説します。
混泳の相性
水槽からの飛び出し
かかりやすい病気
混泳の相性
遊泳層がかぶらない魚であれば混泳できますが、上層を泳ぐ小型熱帯魚は捕食される危険があります。他の魚で驚いたりストレスを抱えたりするので、下層で生活するプレコなどは互いに干渉しないので好相性です。
甲殻類も捕食対象なので、エビとの混泳には向きません。バタフライフィッシュは動きがゆったりなので、泳ぎが早い活発な魚種はストレスになりやすいので避けたほうが無難です。
同種との混泳は、個体によっては縄張り争いになることがあるので慎重に行いましょう。60㎝以上の水槽を用意して縄張りが重ならないようにするのが基本です。小競り合いが起きないか様子を見ながら混泳させてください。

水槽からの飛び出し
物音や振動などに驚いて水面に飛び出すことがあるため、水槽のフタは必須です。しっかり固定し、隙間がないようにしておきましょう。アクアテラリウムの場合も、ハイタイプ水槽であれば陸地を水槽内に収めてフタをするのも難しくありませんよ。
水換え時も油断禁物です。フタを外したまま離れることがないようにしてくださいね。

かかりやすい病気
病気になりにくい魚種ではありますが、水温が低いなど水槽環境が悪化すると白点病になることがあります。
導入時はデリケートなので、特に注意が必要です。丁寧な水合わせを行い、1週間は全身の変化がないか気を付けて見ましょう。古代魚は薬浴に弱いので、症状が出たら通常の1/3の濃度で薬浴を行うと良いです。
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バタフライフィッシュの繁殖
バタフライフィッシュは繁殖の難易度が高い熱帯魚です。国内の成功例はほとんどありません。
雄雌差があるので見た目で判別できます。尻ビレの一部が長く伸びているのがオスで、すんなりとした尻ビレを持つのがメスです。尻ビレが大きいので見分けやすいですよ。
水面に産卵するということは分かっており、卵の確認までは成功している方がいるようです。もし卵を見つけたら、食べられる前に隔離してください。稚魚についての情報はほとんどないのですが、卵を確保できたら可能性はゼロではないでしょう。

まとめ
バタフライフィッシュの見た目は、大きなヒレの主張が激しく、少々強面です。でも、内面は臆病で温厚であるというギャップに愛着が湧いてしまいます。
飼育難易度が低めで、初めて古代魚にチャレンジする人にもおすすめです。
生活層が重ならない中層〜下層の熱帯魚であれば、混泳も難しくないので、様々な組み合わせで鑑賞できるでしょう。水面の下に鎮座するような厳かな「静」と餌を食べにくる肉食魚の「動」をじっくり観察して、飼育を楽しんでいただけると嬉しいです。

