メダカは初心者でも簡単に飼育・繁殖ができる魚です。メダカの繁殖はメダカ飼育の醍醐味とも言えます。
お世話しているメダカが親になり、その稚魚が成魚に美しく育つ過程はまさに命のドラマと言えるでしょう。繁殖を重ねることで自分好みのヒレ・体型・体色をもつメダカを生み出すというマニアックな楽しみ方もできます。
この記事を読むだけでメダカの繁殖のすべてがわかるように、メダカの繁殖する環境づくりから、卵の孵化の方法、稚魚の育て方までをご紹介します。
メダカの繁殖する環境を整えよう

メダカにも繁殖しやすい環境というものがあります。ここからはメダカが繁殖するための3つのポイントを紹介していきます。
水温が25℃以上であること
12時間以上の日照時間があること
栄養状態が良いこと
水温が25℃以上であること
メダカは18℃以下の水温で活動が低下し、20℃以上になるとメスの体内で卵の成熟に関するホルモン分泌が活発化します。
25℃以上の水温では健康で栄養状態の良いメスは毎日20~30個ほどの卵を産卵します。そのため、屋外飼育では地域にもよりますが5~10月に繁殖しやすいと言われています。
屋内飼育で冬に繁殖させたいという場合には観賞魚用のヒーターや暖房器具を用いて水温を25℃以上にキープしましょう。

12時間以上の日照時間があること
メダカは日照時間の長さによって繁殖期を判断します。屋外飼育であるなら日の当たる場所に水槽を置いて日照時間を確保しましょう。ただし、夏場の暑い時期は水温の上昇に注意すしなければなりません。
屋内飼育の場合は、水槽用のLED照明で管理しましょう。屋内飼育の注意点は、日光が入る部屋で飼育している場合に、夜までLED照明をつけていると過剰に光を浴びせてしま宇野で、部屋にはしっかりカーテンをして照明のみで光を管理しましょう。
規則ただしく照明を管理するのが難しい場合には、スマートプラグやタイマーを用いることがおすすめです。

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栄養状態が良いこと
繁殖には体力をとても使います。親メダカの栄養状態が悪ければ、体力不足で産卵をすることができなかったり、産卵する卵が少なくなることがあります。
そのために重要なことが「飽和給餌」をすることです。飽和給餌とはエサの量を3~5倍増やして、お腹いっぱいになるまで餌を食べさせるということです。
注意点として、エサをあげる量ではなく回数を増やしましょう。一度に大量のエサを与えると食べきれなかったエサで水槽が汚れてしまいます。
以上、3つがメダカを繁殖させるポイントです。まずは親メダカの体調を整え、健康で良い卵から繁殖をスタートできるようにしましょう。
メダカが卵を産んだら
親メダカの環境を整え、見事にメスが産卵すれば卵を隔離(採卵)する必要があります。
採卵の方法と卵の管理の仕方をご説明します。

採卵
メダカは浮き草の根や水中の水草など、さまざまな物に卵を産みつけます。産みつけられた卵をそのまま放置しておくと、親メダカや他のメダカにエサとして食べられてしまう可能性があります。卵の孵化率をあげるために採卵して他の水槽に隔離しましょう。
メダカを飼育している環境に大量の水草や障害物があると卵を見逃してしまう場合があります。卵を見逃さないためにも、繁殖用の水槽には親メダカと人工の産卵床のみを入れておき、卵を発見したら産卵床ごと別の水槽に移す方法がおすすめです。
メダカの卵は非常に丈夫なので手でつまんでもつぶれることはありませんので、卵を見つけたら手でつまんでサテライトに移しましょう。

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有精卵と無精卵の見分け方
産みつけられた卵には必ず有精卵と無精卵が混ざっています。すべてが有精卵にならないのは生き物なので仕方のないことです。しかし、無精卵の存在はカビという問題を引き起こします。適切に卵を管理していても無精卵にはカビが生えます。
無精卵に生えたカビは有精卵にも移り、産まれる可能性のある有精卵をダメにします。無精卵は早期に発見して取り除きましょう。
有精卵と無精卵はよく観察することで見分けることができます。無精卵は産卵から数日経つと白く濁ってきます。ただし、初心者の方は自信をもって無精卵を選びにくいかもしれません。その時には、「メチレンブルー」を使いましょう。
メチレンブルーは後述する卵のカビ対策にも有効ですが、無精卵はメチレンブルーに青く染まるため有精卵と見分けやすくなります。
卵のカビ対策
カビは卵にとって大問題です。無精卵を除去する他にカビ対策を2つご紹介します。
メチレンブルーを添加する
カルキを抜いていない水道水を使う
1.メチレンブルーを添加する
メチレンブルーは一般的に白点病などの治療に使う魚病薬です。白点病は水カビが原因で発生する病気でメチレンブルーは水カビを殺す効果があります。
メチレンブルーを使用することで、前述した通り無精卵が見分けやすくなりますし、その後のカビ予防にも効果的です。

2.カルキを抜いていない水道水を使う
水道水には雑菌の繁殖を抑えるためにカルキが含まれています。カルキは水カビにも効果的で卵への発生を抑制することができます。
通常、魚には猛毒なカルキですが、卵の状態では稚魚に影響はありません。カルキは放っておくと1日程度で抜けてしまうので、毎日水は交換しましょう。
また注意点として、孵化した後は稚魚にとって猛毒となってしまうため、卵の中に目玉がはっきり見えてくるなど、もうすぐ孵化することが明らかな場合にはカルキを抜いた水に替えましょう。
孵化する環境
メダカの卵が孵化するのに必要な条件は次の3つです。
十分な酸素
13時間以上の日照時間
26~28℃の水温
卵の状態でも中の赤ちゃんは呼吸をしています。飼育容器の水は毎日交換し、新鮮な酸素を供給してあげましょう。大きな飼育容器で管理する場合は弱いエアレーションを入れて容器内の水を循環させると孵化率が上がります。
親メダカが産卵しやすい環境と同様に十分な日照時間と水温が必要になります。繁殖しやすい環境づくりと同様にLED照明やヒーターを用いてしっかりと管理をしてあげましょう。
メダカの稚魚の育て方
大事に見守っていた卵から、かわいいメダカの赤ちゃんが生まれたら次は稚魚が育つのに快適な環境を整えてあげましょう。
赤ちゃんは卵の状態や成魚に比べると水質の変化や飼育環境の変化に敏感です。しっかりとした環境を準備しましょう。
稚魚が快適な環境
孵化したばかりのメダカの稚魚は「針子」と呼ばれます。針子は泳ぐ力がとても弱く、自力で水流に逆らったり、下に沈んだエサを食べるために潜ることができません。
水流を抑えるためエアレーションは極力弱く設定し、水深も浅めの飼育容器を使いましょう。
メダカの稚魚は水質の変化にとても敏感です。できるだけ水替えは避けて、蒸発した分を足す「足し水」をしましょう。毎日飼育容器を観察して、フンや食べ残しをスポイトなどで取り出すことも大切です。
孵化した後も日照時間と水温の管理は重要です。卵をお世話した時と同様に13時間の日照時間と26~28℃の水温をしっかり管理しましょう。
稚魚の餌
孵化したばかりの稚魚にエサを与えるのは孵化3日後からにしましょう。孵化したばかりの稚魚にはお腹に栄養が詰まった袋(ヨークサック)がついており、エサを必要としません。
ヨークサックがなくなったことが確認できたら、成魚用のエサをすりつぶして与えましょう。エサを指にとり、爪で押しつぶすと簡単に細かくすることができます。
すり潰すのが面倒な場合は稚魚用のエサも売っているので利用するといいでしょう。エサは稚魚が5分ほどで食べ切る量を1日4~5回にわけて与えましょう。
グリーンウォーター
稚魚の育成には「グリーンウォーター」もおすすめです。グリーンウォーターとは水中で植物プランクトンが発生し、緑色に見える水のことです。
植物プランクトンは稚魚のエサになるため、グリーンウォーターで飼育していると常に稚魚にエサが与えられている状態になります。
植物プランクトンだけでは稚魚の栄養が偏ってしまうため、市販のエサも必須となりますが、低栄養で死ぬ可能性を減らすことができます。
グリーンウォーターは容器に水をためて、屋外の日光がよくあたる場所に何日か放置すると自然と作ることができます。ただし、グリーンウォーターの長期的な維持にはコツがいるため、しっかりとした知識を身につけてから挑戦することをおすすめします。
まとめ

今回はメダカの繁殖方法について、産卵から稚魚の育て方までご紹介しました。
すべての段階において、日照時間と温度の管理が重要であることがお伝えできたかと思います。現在、メダカが繁殖せず困っている方やこれから挑戦する方には、まずは日照時間と温度に注意していただきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ楽しんでメダカの繁殖に挑戦していただけたらと思います。