クリプトコリネは様々な種類があり、同じ種類でもピンクやブラウンなど葉色の種類も豊富でアクアリウム初心者でも栽培しやすい水草です。育て方、クリプトコリネ特有の注意点、おすすめレイアウトを紹介していきたいと思います。
クリプトコリネの種類と特徴

<特徴>
クリプトコリネは東南アジアなどが原産のサトイモ科の植物です。ホウレンソウのようにロゼット型で広がる植物なので水槽にボリュームを持たせる事ができます。また、陰生植物なので、光量は少なくて良く、CO2も必要無く、成長速度が遅いのでトリミング頻度が少なくて良いのが特徴です。ですが中には、カリウムや鉄など含む固形肥料の追肥やCO2が必要な種類があります。
<種類>
クリプトコリネ パルバ
最も小型で葉も小さいです。前景草や隙間を埋める植物として植えられます。丈夫で成長は緩やかなため、クリプトコリネ病に罹りにくいので、失敗は少ないです。

クリプトコリネ ルーケンス
茎が長く、パルバよりも葉が大きいです。丈夫で導入しやすいです。前景草として植えられます。しかし、クリプトコリネ病にはかかるので、導入時、根を傷めないように植え込む注意が必要です。

クリプトコリネ ウェンティー グリーン
クリプトコリネの中では丈夫で生育は早いです。中景草として植えられます。隙間を埋める素材として優秀です。水換えや追肥がないとクリプトコリネ病に罹ります。安定した環境が必要です。

クリプトコリネ ペッチー
葉が細いです。ベケッティよりも小さいです。中景草として植えられます。CO2や追肥が必要です。クリプトコリネ病に罹りやすいです。

クリプトコリネワルケリー
赤系のクリプトコリネです。ペッチーに比べて葉が柔らかいです。中から後景草として植えられます。成長が早く、生育しやすいです。

クリプトコリネ ベケッティ
葉色も豊富な植物でグリーン、ピンクに茶色があります。中から後景草として植えられます。やや大きく育ちます。非常に丈夫で、病気に罹りにくいので、初めてのクリプトコリネとしてお勧めです。

クリプトコリネ バランサエ
葉が大きく凸凹しており、テープ状に伸びる大型のクリプトコリネです。後景草として植えられます。成長が早く、生育しやすい。

クリプトコリネはこんな人にオススメ
種類と特徴のところでも書いたように、クリプトコリネは光が少なく、CO2が必要なく、手入れも少なくて良いことが特徴の植物です。なので、忙しい人向けの植物とも言えます。それと、産地が似ているところが多いので、葉の形が色々あり、クリプトコリネだけ水槽を作ってみるのも楽しいです。
CO2添加不要のウィローモスもオススメ!
-
-
[CO2添加無し]ウィローモスの増やし方からキレイに育てるポイントを徹底解説
ウィローモスは初心者向けと言われ、CO2添加無しでも育成が容易な水草です。 ウィローモスでよくあるのが、初心者向けの割には上手く育たないという悩み。今回は、多くの方の「なぜ何度やっても茶色くなって枯れ ...
続きを見る
クリプトコリネの育て方
クリプトコリネ病という病気があるぐらいなので、難しい植物と思われがちです。ポイントを押さえて、気長に育てていきましょう。そして、クリプトコリネは葉に注目しがちですが、育てる時は根を大切に扱うことがポイントになってきます。
購入したら、根を傷つけないようにポットやウールを取り外し、植える飼育水と同じくらいの水温で水洗いします。
目視でスネールやその卵が無いか、枯れた葉や根を見つけ、取り除きます。この時に株をわけます。
底床は5㎝くらい用意して、根がすっぽり入るくらい穴を開けて(2㎝くらい)、根を水平に広げて砂を被せます。大型は手で植えて、小型はピンセットで植えていきます。隣の株との距離は5㎝くらい離した方が密集しにくく、溶けた時に飛沫し辛いです。早く成長させたい場合は、CO2を添加すると良いでしょう(色を出したい場合はCO2ないほうが良いです)。
トリミングは株の根本から2、3mmを残してカットします。大型は手でやった方がピンセットよりも正確に行えます。
クリプトコリネを育てる際の注意点
育て始める前に環境を整える
クリプトコリネは環境の変化で溶けてしまうので、育てる前に環境を整えておくことも大事です。飼育水は弱酸性から中性で、軟水から中硬水、水温を20から28度にします。新品のソイルよりも他の水槽で使ったことがあるソイルの方が失敗しにくいです。もし、用意ができないようでしたら、大磯砂で始めることをお勧めします。
溶ける植物として育て始める
購入したクリプトコリネは植え始めると溶けると思って、育て始めた方が良いです。
極端な話、購入してポットやウールから取り出し、根を綺麗にした後、用意した水槽に浮かべ、わざと葉を溶かし、2,3日経ってから植えるのも、一つの手だと思います(溶けた葉は他のクリプトコリネに触れる前にスポイト等で吸い取る)。
活着はできないのでレイアウトを楽しむ
同じ陰生植物のアヌビアス ナナやミクロソリウム、ウィローモスは岩や流木に巻きつけるなどの活着ができます。しかし、クリプトコリネのほぼ全ての種類が活着できません。これは、流木の酸化、腐植により溶けが進行するためです。岩は活着根がないので、活着できずに調子を崩します。クリプトコリネと岩や流木に活着するレイアウトではなく、床砂に植え込むレイアウトにすることをお勧めします。そして、根の移動を嫌う植物なので、一度植えたら動かさないレイアウトを考えて植えましょう。
ロタラもレイアウトに加えたら映えますよ!
-
-
【魅力たっぷり水中葉】ロタラの種類と育て方を徹底解説
ロタラはフトモモ目ミソハギ科キカシグサ属の抽水植物で、国内にも6種類が確認されており、湿地や水田など止水域かつ富栄養化が進んだ土地を好み、水上・水中どちらにも適応できるたくましい植物です。 アクアリウ ...
続きを見る
クリプトコリネ病とその対策
クリプトコリネ病は発病した葉が溶ける病気です。この葉に接触した健康な葉も感染し、根茎まで感染すると株自体の致命傷になります。テトラのステラコリンやフローラプライドを添加して発根促進、抵抗力増加をすることで、植える前の感染予防ができます。
発症する原因は、急激な環境変化(水温、水質等)や水の汚れに関連するので、できる限り準備をしてから植栽するなど、手を尽くしてみる必要があります。それでも、病気にかかってしまったら、プロホースなどで水と溶けた葉を吸い上げていきます。
手でちぎりたくなるかもしれませんが、根ごと抜けてしまう可能性もあるので、我慢します。それと、これ以上、病気が広がらないようにと、大量に水替えもしたくなります。しかし、環境の変化により、さらに病気が悪化してしまう恐れもあります。なので、その部分だけに留めましょう。多くても、水換えは3分の1程度にしましょう。

クリプトコリネのおすすめレイアウト
小型から大型、色もブラウンやピンクがあるので色々なレイアウトが楽しめます。
30㎝キューブ水槽で楽しむ
溶岩石を入れ、床砂を入れ、前景にクリプトコリネ バルバやクリプトコリネ ルーケンスを入れ、アヌビアス ナナを溶岩石に活着し、ヤマトヌマエビやオトシンクルス ネグロ、ネオンテトラなどが泳ぐ水槽もお勧めです。
60cm水槽で楽しむ
60cm水槽になると奥行きも楽しめるようになります。クリプトコリネ ベケッティやクリプトコリネ ウェンティーグリーン、クリプトコリネ ルーケンスを入れて、ディスカスの故郷を再現したり、小さい熱帯魚がたくさん泳ぐ森のような水槽を再現することもできます。
90cm水槽で楽しむ
90cm水槽となると水槽の上部にも陸地を再現できます。大型のクリプトコリネ バランサエも楽しめるようになってきます。水槽のエアポンプの前に植えて、流れを楽しむレイアウトにお勧めです。
まとめ
今回はクリプトコリネについてでした。すぐに繁茂する植物ではありません。1ヶ月後、2ヶ月後、1年後と味が出てくる植物です。また、陰生植物の中でも、組織培養と現地で採取されて輸入されたものでは価格に大きく違いがあります。溶けたらと思うと初心者では手の出しにくい植物です。最初はクリプトコリネ バルバやクリプトコリネ ルーケンスから初め、溶けない環境が確認できてから、他のクリプトコリネの種類を試していくことも大事だと思います。水質を作る、レイアウトを考えるなど、ゆっくりとアクアリウムのある生活を楽しんでいけたらいいですね。