

カラフルな熱帯魚が多い中で、黒単色がとてもクールでおしゃれなブラックモーリー。アクアリストの天敵である油膜・コケ対策に、ブラックモーリーの導入を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アクアリウム入門種と言えるグッピーと同じくらい飼いやすく、お掃除フィッシュとしての実力もある魅力的な熱帯魚です。水槽に入れてみると美しく、見栄えがするので鑑賞用としても有用ですよ。
今回は、ブラックモーリーの特徴・飼育方法・繁殖について解説します。お掃除能力についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
ブラックモーリーはどんな魚?

ブラックモーリーは、中南米原産で、グッピーやプラティと同じ卵胎生メダカの仲間。モーリー自体にもたくさんの種類があり、色や形も豊富です。
ブラックモーリーの特徴
体色は黒一色で、一般的に体長6~7㎝程度まで成長します。メスは、さらにひと回り大きくなることも。寿命は2〜3年程度と言われています。
自然界では、淡水と海水が混在する汽水域に生息しているため、マリンアクアリウムにも導入されることがあり、環境適応能力が高く非常に丈夫です。
比較的大人しい性格なので、混泳相手に困ることはないでしょう。グッピーなど他のメダカに比べるとやや気性が荒いと感じることもありますが、少し気を配って様子を見る程度で大丈夫です。

ブラックモーリーのお掃除能力
ブラックモーリーは、水槽内の油膜・アオミドロなどの糸状藻類・藍藻類をよく食べてくれます。お掃除生体の中でも、油膜や藍藻をターゲットにしている種は数少ないため、貴重な存在なのです。
安価で飼育しやすいので、手軽に導入できるのも嬉しい点で、多くのアクアリストがメンテナンスフィッシュとして採用しています。小型と言うには大きめのサイズなので、1匹の処理能力も高いのが魅力です。


ブラックモーリーがオススメなのはこんな人
ブラックモーリーはこんな人におすすめです。
油膜・アオミドロ・藍藻に悩まされている
アクセントになる魚が欲しい
1匹でも存在感のある魚が欲しい
海水・弱アルカリ性水槽に導入したい
シックな雰囲気の水槽を作りたい
小型水槽であれば1〜2匹導入するだけで油膜・藍藻対策になります。お掃除力は海水水槽でも有効です。
漆黒の魚は水槽内で目を引きます。水草やカラフルな熱帯魚の中で映えますし、水景を引き締めて周りを引き立ててくれるでしょう。色のトーンを抑えて落ち着いた水槽を作りたい場合にもぴったりです。シンプルな美しさで1匹でも見応えがあります。
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ブラックモーリーの飼育方法
ブラックモーリーの飼育難易度は低く、初心者でも全く問題ありません。以下の飼育ポイントを押さえておけば大丈夫ですよ。
水温・水質
水槽サイズ・底砂
給餌
水温・水質
適正水温は、23〜27℃です。生命力が強く、低温にも高温にも耐性があると言われていて、18〜30℃と幅広く適応する場合があります。
水質は、弱アルカリ性(pH7.0〜8.5)に保つのが基本です。弱酸性に偏り過ぎると元気がなくなってきます。弱酸性がスタンダードな水草水槽では、中性寄りの水質を目指すと良いです。
水換え頻度が少ないと弱酸性に偏ってくるので、通常の水換えや掃除を怠らないようにしましょう。

水槽サイズ・底砂
30㎝水槽から飼育可能です。グッピーやプラティに比べると大きくなるので、30㎝水槽であれば1〜3匹程度を目安にしましょう。特に水を汚すような魚種ではありませんが、繁殖の可能性を考えると広めの水槽のほうが飼いやすいです。
底砂は、砂利・砂など使いやすい種類で構いません。ブラックモーリーのことだけを考えると、弱酸性に傾ける作用のあるソイルは選択肢に入れる必要はありませんが、水草育成など他の目的があるのであれば水質に注意して採用してくださいね。

給餌
お掃除生体として導入する場合も多いですが、食事として不十分なので餌も与えます。餌を食べて足りなくなるとコケなどを食べるので、お掃除力を見ながら餌の量を調整すると良いでしょう。
餌は一般的な人工飼料で問題ないです。なんでも良く食べるので、給餌で苦労することはまずありませんよ。

ブラックモーリーを飼育する際の注意点
ブラックモーリーの飼育上の注意点を以下の内容で解説します。
混泳
増えすぎ
混泳での注意
種類の異なるモーリーや同じポエキリア属(グッピー属)であるグッピーとの混泳は、交雑の可能性があるので避けましょう。交雑に抵抗がない場合は問題ありませんが、交雑種は繁殖能力が弱くなると言われています。
卵胎生メダカの仲間でもプラティは属が異なり、交雑しないので混泳しても問題ありません。テトラ・ラスボラ・グラミーなど適応水質が近い品種は、上手く混泳させやすいです。
ブラックモーリーと体格差があったり、尾ひれがヒラヒラと大きい熱帯魚を追いかけることがあります。ちょっかいを出す程度でとどまることが大半ですが、小さい魚種は多めに入れておくと良いでしょう。

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増えすぎに注意
ブラックモーリーは、水槽内で簡単に繁殖する種類です。オスとメスが揃えば、いつの間にか稚魚が産まれているということになります。繁殖を狙わない場合は、オスだけを飼育しましょう。
「一度に20〜30匹産んでいて驚いた」という話もよく聞きます。オスとメスを導入する場合は、まず1ペアから始めて様子を見ると良いです。どのくらい増えても大丈夫かを予め決めておき、繁殖過多を防ぎましょう。
とは言え、親を含めて自分たちの稚魚を食べるので、放っておくと自然淘汰されていく部分もあります。環境によって繁殖数は違いますが、「ブラックモーリーは繁殖力が強い」ということは覚えておきましょう。

ブラックモーリーの繁殖
ブラックモーリーは、オスとメスを泳がせておくだけで自然に繁殖します。難易度は、初心者レベルですよ。
ブラックモーリーのオス・メス
オスは、メスよりひと回りほど小さく、腹にゴノポディウムと呼ばれるヒレが尖ったような交接器があります。オスがメスを追いかける様子が見られるようになると繁殖活動が始まったということです。
メスはオスに追いかけ回されてストレスを感じやすいので、オスより多めに入れて、隠れ家になる水草や流木も用意しましょう。


稚魚の育成
ブラックモーリーは、卵胎生なので卵を産みません。メスの腹の中で卵を孵化させて、7㎜程度の稚魚を産みます。
捕食の危険があるため、確実に増やしたい場合はサテライトなど稚魚を隔離するためのケースを用意しましょう。メスの腹が膨らんできたら隔離ケースに移しておきます。稚魚が産まれたら、稚魚用の餌か親が食べている餌をすりつぶして与えてください。
隔離ケースで1〜2か月程度飼育し、2㎝程度に成長させて本水槽へ移します。このサイズであれば、ブラックモーリーより大きい魚がいない限り、捕食されることはないはずです。長期間狭いサテライトで育てると大きくなれないので、成長具合を見てタイミングを図ってくださいね。


まとめ
ブラックモーリーは、お掃除生体としての処理能力に優れ、特に油膜と藍藻対策にはもってこいの熱帯魚です。飼育難易度が低く、初心者から繁殖を楽しめるという大きな魅力も持っています。
シンプルに熱帯魚としての洗練された美しさがあるので、鑑賞目的の導入もおすすめです。
水槽をシックに引き締める黒い熱帯魚の中で、手軽さナンバーワンと言えるほど、どんな水槽にも導入しやすい種類なので、水槽の雰囲気づくりにもぜひ活用してみてください。

