アクアリウムで人気の高いブラックテトラ。シンプルな見た目ながら、群れで泳ぐ姿が美しく、初心者からベテランまで多くの愛好家に支持されています。この記事では、ブラックテトラの特徴から飼育方法、繁殖まで詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
ブラックテトラはどんな魚?

ここでは、以下3つの観点からブラックテトラの基本情報についてご紹介します。
原産地と生態
外見の特徴
寿命と成長速度
それぞれ詳しく見ていきましょう。
原産地と生態
ブラックテトラは南米のアマゾン川流域が原産で、主にギアナやブラジルの河川に生息しています。野生下では、流れの緩やかな水域や水草の生い茂る場所を好んで生活します。水の濁った環境でも適応できる強健な魚です。
外見の特徴
体長は最大で5-6cm程度と、大きさとしては小型の熱帯魚に分類されます。
体色は銀色がかった灰色で、体側には名前の由来にもなっている特徴的な黒い斑点が見られます。
また、オスとメスでは外見が異なるのも特徴です。成熟したメスはオスよりも体幅が広く、腹部が大きく膨らむのでお腹が丸みを帯びていればメスだと覚えておきましょう。
寿命と成長速度
一般的な寿命は3〜5年程度と言われています。
ただし適切な環境で飼育すれば、5年以上生存することも珍しくありません。
成長スピードは比較的早く、生後約3〜4ヶ月で成魚のサイズに達します。
ブラックテトラがオススメなのはこんな人
ブラックテトラはアクアリウム初心者や低予算でアクアリウムを始めたい方にオススメです。
アクアリウム初心者
ブラックテトラは非常に丈夫で、水質の変化にも強い耐性を持っています。
また餌を良く食べ、病気にもかかりにくいため、アクアリウムをこれから始めようと考えている方や始めたばかりの方におすすめです。
穏やかな性格かつ適度なサイズ感なので、他の魚とのトラブルも少なく混泳が可能なのも魅力と言えるでしょう。
特に、同じカラシン科の魚や小型のコリドラスなどとの相性が良好です。
群れで泳ぐ習性があり、6匹以上で飼育することでより自然な行動を観察できますよ。
飼育予算と維持費を抑えたい方
ブラックテトラは1匹200円程度とお求めやすい価格帯です。
アクアリウムには水草や水槽セット、水質管理用品などが必要です。
維持費は主に餌代と電気代で、月額1,000円程度と比較的リーズナブルです。

ブラックテトラの飼育方法
ここでは、以下4つの観点からブラックテトラの飼育方法についてご紹介します。
適切な水槽と設備を用意する
水質管理と水温の調整を行う
適切な種類の餌を与える
相性の良い魚種と混泳させる
適切な水槽と設備を用意する
群れで飼育することを考慮すると、最低でも60cm水槽(約60リットル)が推奨されます。
より大きな水槽を用意できれば、より自然な群泳を楽しめますよ。
90cmの水槽であれば、15匹程度の群れを優雅に泳がせることが可能です。

水槽には以下の設備を用意しましょう。
フィルター | 水槽の大きさに応じた適切な濾過能力のものを選ぶ |
ヒーター | 適温(24-28℃)を保つためにサーモスタット付きのものを選ぶ |
照明 | 省エネで長寿命なLED照明がおすすめ |
エアレーション | エアーポンプを使って水中に空気を送り込む |
加えて、水温計や水質測定キットなどのアイテムもあると管理が楽になります。
水質管理と水温の調整を行う
水質パラメータは以下の範囲を目安に調整しましょう。
- 水温:24-28℃(26℃前後が最適)
- pH:6.0-7.5(若干酸性側が好ましい)
- 硬度:軟水~中性(dGH 5-15程度)
- アンモニア:0mg/L
- 亜硝酸:0mg/L
- 硝酸:20mg/L以下
なお、週1回の水換えを30%程度行うことで安定した水質を維持できます。
また水換え時は以下の4点に注意しましょう。
- 水温を合わせる:新しい水は必ず水温を合わせてから入れる
- カルキ抜き:水道水を使う場合は、必ずカルキ抜き処理を行う
- 底掃除:水換え時に底砂の掃除も行い、有機物を除去する
- 濾材洗浄:月1回程度、フィルターの濾材も水槽の水で軽く洗う
以上のような水質・水温調整をしておくと、ブラックテトラの寿命を延ばしてあげられます。
水換えや水槽掃除について詳しく解説した記事はこちら
適切な種類の餌を与える
ブラックテトラは雑食性のため、以下の餌をバランスよく与えることが望ましいです。
基本の餌
- フレークフード(毎日の主食として)
- ペレットフード(サイズの合うものを選択)
- 冷凍赤虫(タンパク質補給)
- 乾燥ブラインシュリンプ(おやつとして)
ブラックテトラへの給餌は、適切な量と時間帯を考慮することが重要です。
1日2回程度、朝晩の定時に餌を与えることが望ましく、その際は数分で食べきれる量を目安にすることがポイントです。
また、食べ残しが出た場合は、水質の悪化を防ぐために速やかに除去する必要があります。
さらに、週に1回程度は断食日を設けることで、生き物たちの消化器系に適度な休息を与えることができます。
これらの給餌管理を適切に行うことで、健康的な飼育環境を維持することができます。

相性の良い魚種と混泳させる
温和で争いごとが少ないブラックテトラの性格を活かし、以下の魚との混泳がおすすめです。
- ネオンテトラ
- コリドラス
- ラスボラ
- プラティ
なお、大型の魚や攻撃的な魚との混泳は避けるようにしましょう。
ブラックテトラと相性のいいコリドラスについて詳しく解説した記事はこちら
ブラックテトラを飼育する際の注意点
ここでは、ブラックテトラを飼育する際の注意点を3つご紹介します。
ストレスのサインと対処法
よくある病気と予防法
群れ飼育の重要性
ストレスのサインと対処法
ブラックテトラは比較的丈夫ですが、環境の変化やストレスに敏感な一面も持っています。
日常の観察で以下のような行動変化に気づいたら、ストレスのサインとして注意が必要です。
- 群れから離れての単独行動
- 水面近くでの停滞
- 摂餌不良や餌への反応の低下
- 体色の著しい暗化
- エラの動きの激しさ
これらの症状が見られた場合は、まず水質検査を行い、アンモニアや亜硝酸の数値を確認することから始めます。
水温の安定性も重要なポイントです。
状況に応じて30〜50%の水換えを実施し、フィルターの状態も念入りに確認しましょう。
また、混泳している他の魚との関係性にも目を配る必要があります。
照明が強すぎる場合もストレスの原因となるため、照明時間の調整も検討してください。

よくある病気と予防法
ブラックテトラの主な病気と、それぞれの特徴は次の通りです。
病病名 | 症状 | 予防法 | 治療 |
白点病 | 体表に白い粒が付着 | ・水温の安定化 ・定期的な水換え | ・水温を段階的に上げる・薬浴治療 |
水カビ病 | 体表に綿状の白いカビが発生 | ・傷つきやすい装飾物の除去 ・適切な水質管理 | ・抗生物質入りの薬浴 |
エロ病 | ヒレや体表が溶ける | ・良好な水質維持 | ・適切な薬浴 |
上記の症状以外にも、特に注意が必要な症状として、鱗の浮き上がりや体色の異常な変化、呼吸困難、食欲不振などが挙げられます。
これらの症状が見られた場合は、早期発見・早期対応が重要となります。
水カビ病について詳しく解説した記事はこちら
群れ飼育の重要性
ブラックテトラは強い群れ性を持つ魚で、適切な群れサイズの確保が健康維持の鍵となります。
水槽の大きさに応じた適切な群れサイズは次の通りです。
推奨される群れサイズ
- 最低数:6匹以上
- 理想的な数:10~15匹
- 大型水槽の場合:20匹以上も可能
群れでの飼育には多くのメリットがあります。
ストレスが軽減され、より自然な行動を見せるようになるほか、体色の発色も良くなります。
さらに、群れで生活することで病気への抵抗力が高まり、寿命も延びる傾向にあります。
この特性を活かした飼育を心がけることで、より健康的で長期的な飼育が可能となります。
ブラックテトラの繁殖
ここでは、以下3つの観点からブラックテトラの繁殖についてご紹介します。
繁殖のための環境設定
産卵から孵化までの過程
稚魚の育て方
繁殖のための環境設定
成功率の高い繁殖には、専用の繁殖水槽の設置が不可欠です。
基本的な水槽の設定条件は次の通りです。
水槽の基本設定
- サイズ:30~45cm水槽
- 水温:26~28℃(やや高め)
- pH:6.0~6.5
- 照明:やや暗め
- 濾過:スポンジフィルター
- 水深:20~25cm程度
また産卵床の準備は繁殖成功の重要な要素で、最も一般的なのはジャワモスの使用です。
他の選択肢としてはメダカ用の産卵床、人口産卵床、細葉の水草などがあります。

産卵から孵化までの過程
繁殖の成功には、以下の3つの手順を順序よく実施することが重要です。
ペアの選択とコンディショニング
健康な親魚を選定しましょう。特にメスは産卵管が確認できるものがおすすめです。2週間程度の栄養補給期間を設け、水温を1〜2℃上げて産卵を促進しましょう。
産卵の実施
夕方にペアを繁殖水槽に移動すれば翌朝までに産卵が完了します。一回の産卵で100〜300個程度の卵を産むのが一般的です。産卵後は直ちに親魚を別水槽に移動させ、卵食いを防ぐことが重要です。
孵化管理
孵化までは通常24時間で孵化しますが、低水温時は36時間程度かかることもあります。必要に応じて抗菌剤を使用しましょう。
稚魚の育て方
稚魚の成長段階に応じた適切な給餌と管理が必要です。
初期(孵化後3~4日)
- インフゾリアを中心とした給餌
- 水質管理を特に慎重に
- 極端な水流は避ける
中期(5~14日)
- ブラインシュリンプのノープリウス
- 粉末の稚魚用フード
- 1日3~4回の少量給餌
後期(15日以降)
- 細かいフレークフード
- 冷凍赤虫のみじん切り
- 1日2~3回の給餌
ブラックテトラの育成成功のポイントは、水質を安定させることです。
適度な照明で水草を育て、共食いを防ぐために十分な餌を与えましょう。
成長に合わせて水槽を大きくし、選別で大きさを揃えることで、均一な成長を促せます。
水質管理と餌のタイミング調整を徹底すれば、繁殖と稚魚の育成が成功し、美しい群泳を楽しめるでしょう。

まとめ
ブラックテトラは、アクアリウム初心者にも扱いやすく、群れでの優雅な泳ぎが魅力的な熱帯魚です。
以下の5つポイントを押さえることで、長期的な飼育を楽しめます。
- 6匹以上での混泳で飼育する
- 60cm以上の水槽を用意する
- 定期的な水換えと水質管理を行う
- バランスの良い餌やりをする
- 適切な混泳魚の選択をする
ぜひ、あなたのアクアリウムでブラックテトラの群泳を楽しんでみてくださいね。